第六十九話 十二月になってその十五
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「いやあ、辛いね」
「二日酔いね」
「二日酔いになったね」
「ええ、ちょっとね」
「見事にね」
五人で言う、起きたところで。
「こうなるって思ってたけれど」
「昨日滅茶苦茶飲んだからね」
「ワインも残るからね」
「しかも結構くるから」
「ああ、それじゃあな」
二日酔いだからだとだ、美優は四人にこう言った。
「今からお風呂入るか」
「いつも通りね」
「お風呂で二日酔い解消ね」
「やっぱり二日酔いにはお風呂だろ」
そこで汗を流してというのだ。
「すっきりしてな」
「今日も楽しく過ごす」
「そういうことね」
「そうしような。いやあ、けれど飲んだよ」
昨日のことを思い出しつつ言う美優だった、二日酔いで苦しいがそれでも表情が明るく笑みすら浮かべている。
「昨日も」
「うん、昨日もね」
「しこたま飲んだわね」
「食ったしな」
こちらのことも話すのだった。
「満足だよ」
「そうよね、それじゃあね」
「お風呂に入って」
「朝飯食おうか」
朝風呂の後でというのだ。
「そうしようか」
「そうしよう、それでね」
「今日は何しようかしら」
「街に出ない?」
こう提案したのは彩夏だった。
「今日は」
「街?」
「街になの」
「ただ歩いていてもいいじゃない」
買いものをする訳でもなく何処の店に入る訳でもなくともというのだ。
「五人でね」
「そうね、それもね」
「そう、いいでしょ」
彩夏は里香にも言った。
「歩くだけでも楽しいから」
「そうね、それじゃあね」
「とりあえずお風呂に入ってね」
そこで酒を抜いてからだった、何にしても。
「それからよね」
「そうね、じゃあ美優ちゃんのお言葉に甘えて」
「今から」
「風呂入ろうな」
美優はまた仲間達に言った。
「それからだよ、今日は」
「うん、じゃあね」
「入ろう、皆で」
四人も応える、そしてだった。
五人でぞろぞろと風呂に向かう、すると美優の兄がリビングから妹達に言ってきた。
「風呂か?もう入ってるぞ」
「えっ、そうなのかよ」
「さっきまで俺が入っててな」
それでだというのだ。
「入れたままにしておいたからな」
「そうなんだな」
「ああ、だから入るなら入れよ」
朝のニュースを観ながらの言葉だ。
「今からな」
「悪いな、それじゃあな」
「礼はいいからな」
兄は妹にあっさりとした口調で返した。
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