11:素顔を暴けば、こんなにも
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を言わさぬハッキリとした口調で言われた言葉だったが……
それをアスナは、微笑みすら浮かべて受け止めていた。
「うん、分かった。……『今は』その答えのままでいいよ。わたし達はただ、改めてあなたの口からの返答と本意の声が欲しかったんだ。答えてくれてどうもありがとう、ユミルちゃ……ユミルさん」
アスナが軽くお辞儀し、慌ててシリカもペコリと頭が下げられる。
顔を上げた二人を、ユミルはまるで怪しい宗教勧誘の人を見るかのように、訝しそうに顰めた目で見ていた。その気持ちも分かる。
今までの話は、先程話した内容と何も差異はないものだったからだ。
「……結局、キミ達はこの会話で一体何がしたいの」
俺と全く同感だったユミルの問いに、アスナは苦笑しながら少しだけうーん、と唸って逡巡した。
「何が、かぁ……。そうだね、例えるなら……ただの決意表明、かな」
「決意表明?」
ユミルは再度首を傾げる。
それにアスナは隣人の肩をポンと軽く叩いた。それに応じたシリカが頷き、胸の前で手を握りながら答えた。
「そうです。あたし達の、あたし達による、あなたのそんな考えを変える為の表明です。だから……」
シリカは一旦息を吸いなおし、
「――……あたし達が、ユミルさんを変えてみせますっ!」
そう、宣言した。
「なっ……な、なぁっ……?」
張った声でそう言い付けられたユミルはしばし、口をパクパクさせながら目をあらん限りにまん丸にしてその姿を眺めていたが……
やがて、二人の視線から逃れるように再び暖炉へと向き直り、
「…………決意表明とか……ホントに、ワケわかんない。どうせ無駄だろうけど……もう、勝手にしたら」
と、鼻を鳴らして焚き火を見入る作業を再開し始めた。一見不機嫌なその横顔は、どこか拗ねた子供のようだった。
「はい、勝手にさせてもらいますっ」
そういい残して、満足そうになった二人は踵を返し、俺達の元へと戻ってきた。
***
ソファに座った二人に、俺は可笑しさを我慢できず笑いを漏らした。
「ハハハッ、なるほどね。何を言い出したかと思ったら……決意表明と来たか。物は言い様ってもんがあるもんだ」
「さ、流石に強引だったでしょうか……」
「些かね。端から見てて肝が冷えたわよ」
恐々と胸を撫で下ろしているシリカに、リズベットもヤレヤレと言った風に手をひらひらと振る。
「でも、これで大分ハッキリしたわね」
「うん。わたしから見ててもそう思ったもん。きっとそうだよ」
「なにがだ?」
俺が二人に問うと、アスナはふわり
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