11:素顔を暴けば、こんなにも
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れた。その上には、湯気を立てて実に美味そうな半熟玉子にケチャップ風ソースのオムライス。
「欲しいなら、ちゃんとユミルの分の食材もあるから、すぐに作って来てあげるわよ」
「い、いらないっ……いいから外に出してよマーブル! ランチなんかよりも大事な事なんだよっ!」
手料理をいらないと言われたマーブルさんだが、あえておどけた風に眉を潜ませ、困った風に立てた指を頬に当てた。
「あらそう? そこまでどうしてもって言うなら、別に出かけてもいいけれど……」
ここでわざとらしく首を傾げて、
「――あなた、そのスッカラカンの背中で、一体何を手に戦うの?」
「え」
ユミルは一瞬何のことか分からない風に目を顰め、すぐ目を丸くして背中をまさぐるが……それは、ただ空を掻くだけに終わっていた。
「「…………あ」」
偶然にも、俺とユミルの声が完全に一致した。
言われて俺も気が付いた。ユミルは自前の昼食を摂る為に一階へ降りた為、背には武器を背負っていなかったのだ。
その事に気付かず、ユミルは武器も持たず外へ出歩こうとしていた。
ユミルのリアクションを見るに、恐らく武器はストレージに仕舞わず、二階の個室に設えてある武器立て掛け棚か、チェスト箱の中にでも置いてあるのだろう。武器の置き忘れは、SAOで宿を定期的に利用する者なら、まず一度はうっかりしてしまう事の一つではある。
「まぁまぁ、ユミルってば、心機一転して素手のファイター目指してたのー? お姉さん知らなかったわー♪」
「うぐっ……!」
マーブルは意地悪い笑みでユミルを見つめ、対するユミルは背中を手でまさぐるポーズのまま硬直し……
「うっ、う、うううっ…………ううぎうぅぅうう〜〜〜っ……!!」
やがてみるみる顔を羞恥と屈辱に赤くさせ、下睫毛に涙を溢れんばかりに溜めていっていた。
かと思えば。
「しょっ、勝負は一時間後に村の南門っ!! マーブルのバカバーカ!! うぅぅううぅっ……!!」
そう叫び残し、目元を腕の袖で隠しながら凄まじい勢いで二階へと駆け上がっていった。すぐにガチャバタンッと派手に扉がほぼ同時に開閉される音が届く。
「ああ、本当に可愛い……。うふふふふっ」
マーブルは口を手で隠しつつも、実に愉快そうに笑いに肩を揺らせ、その姿を見送っていた。
「マ、マーブルさん……あんた……」
俺は彼女を横目で見る。すると彼女は実にわざとらしく心外そうに手を広げた。
「あらやだ、私は本当に嬉しいのよ? あんなユミルを見るのは……初めてだもの♪」
「だからって、今のは意地悪過ぎますよ……」
俺のジト目をマーブルはしれっとスルーして、オムライスを乗ったトレ
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