第六十九話 十二月になってその七
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「宗教学部にイスラム学科もあるけれどね」
「それでもなのね」
「そう、イスラム圏からの留学生位よ」
八条町にいるムスリム達はというのだ。
「神戸全体ではまた違うけれど」
「それでなのね」
琴乃も景子の話を聞いて納得した。
「イスラム教の人がいないのは」
「そう、そもそも聖職者がいない宗教よ」
「そういう宗教少ないの」
「イスラムにいるのは法学者よ」
聖職者ではなく彼等がいるというのだ。
「市井の人なのよ」
「聖職者でなくて」
「そう、あくまで学者さんよ」
それになるというのだ。
「そこが他の宗教と違うのよ」
「成程ね」
「イスラム教は独特だから」
またこう言った景子だった。
「そうしたことではね」
「そもそもイスラム教はお酒駄目よね」
彩夏は景子にイスラムの戒律で最も有名であることの一つを話に出した、他には豚肉や犬の唾液に関するものがある。
「そうよね」
「一応はね」
「一応なの」
「豚肉についてもね」
もう一つ有名な戒律であるこれのことも話した。
「一応はなのよ」
「いいの?ひょっとして」
「基本はよくないけれど」
それでもだというのだ。
「アッラーに謝ったりして食べればよかったり」
「それいい加減ね」
「寛容なのよ」
そう言うべきだというのだ。
「イスラムは」
「厳しいイメージあるけれど」
「いやいや、それがね」
「違うのね」
「厳しいだけだと宗教は広まらないわよ」
人には戒律や法律が必要だ、そこから倫理や生き方が形成されるからだ。しかしその戒律等もあまりにも厳しいと、というのだ。
「だからね」
「寛容なのね」
「お酒も豚肉も絶対のじゃなくてね」
「絶対じゃないのね」
「目標よ」
それになるというのだ。
「イスラムのは」
「じゃあ出来るだけはなのね」
「豚肉は食べないでおこうっていうのよ。餓えていてどうしようもないのなら」
その場合なら、というのだ。もっと言えば食べるしかないと判断出来る状況下にあってはというのだ。
「食べていいのよ」
「お酒もなの」
「トルコにも地酒あるわよ」
言うまでもなくイスラム圏だ。かつてオスマン=トルコはまさにイスラム世界の押しも押されぬ盟主であった。
「ごくごく飲んでるそうよ」
「ムスリムでも」
「そう、その地酒をね」
「何かイメージ違うわね」
「イスラムは面白い宗教よ」
こうまで言う景子だった。
「勉強してみるとね」
「景子ちゃんイスラムの勉強もしてるんだな」
美優が納得した顔で言ってきた。
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