暁 〜小説投稿サイト〜
万華鏡
第六十九話 十二月になってその一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
              第六十九話  十二月になって
 十二月になった、まずは何があるとかというと。 
 テストだった、しかしそのテストはあっさりと終わってだ。
 琴乃はテスト開けすぐにだ、プラネッツの五人でテスト打ち上げ記念のカラオケパーティーの場でこんなことを言った。場所はスタープラチナだ。
「いや、今年最大の障害がね」
「終わったわね」
「これでね」
「ええ、終わったわ」
 マイク片手にほっとしていた、左手にはビールの大ジョッキがある。
「だからこうしてね」
「歌って飲んで」
「そうしてよね」
「そうしよう、今はね」
 こう言うのだった、共にいる四人に。
「何か店員さん今日もぶすっとしてたけれど」
「助っ人の交渉難航してるから」
 里香が店員が不機嫌な理由を指摘した。
「だからね」
「何かあのチームそういうこと多いわね」
「ちょっといい選手すぐに巨人に獲られるから」
「クルーンとか村田とか」
「その助っ人も狙ってるのよ」
 人類普遍の敵である憎むべき読売ジャイアンツがというのだ。
「だからね」
「店員さん不機嫌なのね」
「相変わらずね」
「相変わらずっていうのがね」
 もうこれがだった。
「横浜よね」
「そうなってるわね」
「シーズン中は連敗続きで」
「ストーブシーズンもね」
 つまり今もである。
「何かとね」
「こうした騒動起こって」
「気が休まる暇もないわよね、あのチームは」
「だからか」
「ああして今も」
 憮然とした顔でいるというのだ、店のカウンターにおいてベイスターズの帽子を被り
ベイスターズグッズに囲まれながらも。
 それでだ、琴乃はこうも言った。
「とにかくね、あのチームのファンは阪神ファンもだけれど」
「茨ね」
「困難の道ね」
「苦難の道って言ったら北朝鮮だけれどね」
 世襲制の独裁者達の失政による苦難の道である。
「それでもね」
「そうよね、ちょっとね」
「ベイスターズはちょっとね」
「あまりにもね」
「お家騒動というか選手が出ること多いよな」
「毎年みたいにね」
「折角いい選手が出て来ても」
 それでもだというのだ、琴乃も。
「ああして騒動の後出るとね」
「後味悪くて」
「見ている方も」
「横浜ファンじゃなくても嫌になるわ」
 ここにいる五人は全員阪神ファンだから関係ないか敵チームのことなので喜ばしい筈だ、だがそれでもなのだ。
「あまり嫌いなチームじゃないからね」
「そうそう、巨人じゃないから」
「巨人じゃないとね」
 四人も特に、という口調だ。
「あまりね」
「不祥事とか起こって欲しくないから」
「素直に送りたいからな」
「巨人以外のチームはね」
「横浜はちょっとフロントに問題があるの?」
 
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ