第百二十一話
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第百二十一話 亜美の家では
亜美が携帯に出るとだ、亜美の母がこんなことを言ってきた。
「今度の日曜な」
「何かあるん?」
「お客さん来ることになったわ」
こう娘に言ってきたのである。
「急にな」
「あっ、そうなん」
「そや、それも大勢来るさかい」
それでだというのだ。
「お母ちゃんがお料理作ることになったわ」
「そやねんな」
「お肉焼くさかい」
「ステーキ?焼肉?どっちや」
「多分ステーキやで」
そちらになるというのだ。
「そやから台所ずっと使うことになるわ。ステーキ以外にも色々作るさかい」
「ステーキか。豪勢やな」
「豪勢って今時オーストラリアから肉が入るやろ」
これが母の亜美への返事だった、実際にステーキ具体的に言えば牛肉も輸入肉のおかげでかなり易くなった。
「それがあるやろ」
「それで美味しくやな」
「そこはお母ちゃんの腕の見せどころや」
「とにかく日曜はやな」
「ちょっと台所使うで」
このことは確実だった。
「そういうことでや」
「そうやねんな」
「何か作るつもりやったら今度にしてや」
娘にこう言う母だった。
「そういうことでや」
「わかったわ、そやったらな」
「あんたの分のお肉も用意しとくさかい」
そのステーキをだというのだ。
「楽しみにしときや」
「まあそやったら」
「ほなそういうことで」
ここまで話してだった、少し一方的にだった。
母は携帯を切った。ここまで話してからだった。
亜美は皆にだ、こう言った。
「あかんようになったわ、うちは」
「うん、そうみたいね」
「何となくわかるわ」
六人もこうその亜美に答える。
「じゃあ亜美ちゃんのお家もね」
「使えなくなったわね」
「御免な、急に決まったわ」
「じゃあ何処で作るかよね」
ここでまた言った梨花だった。
「もう一回考えてみよう」
「それじゃあね」
六人も亜美のその言葉に応えてまた考えることになった、場所の問題はふりだしに戻ることになった。
第百二十一話 完
2014・4・7
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