暁 〜小説投稿サイト〜
幸せの箱探し
3章 【真実】

[8]前話 [2]次話
 「ここは…どこだ……」

 気が付くと僕は、見たこともない街の中にいた。

 「確か電車の中で『幸せの箱』を開けて……そうだ。その後、吸い込まれたんだ。

 ということは、ここは『幸せの箱』の中なのか?」

 「その通り。」

 いつの間にか目の前に、あの女がいた。

 「おい、ここはどこなんだ!あの箱を開けたら世界一の幸せ者になるんじゃなかったのか!!!」

 「フフッ、フハハハハハ!」

 女の霊は狂ったように笑い始め、そして続けて言った。

 「まさか、本当に信じていたのか?そんな箱があるなんて!」

 「……あの話が嘘だったのは分かった。もう一つ、ここはどこだ。」

 「ここは箱の中に私が作った小さな世界だ。」

 僕は女の霊と喋りながら、頭の中で整理していた。すると女の霊は言った。

 「のんびりしていていいのかなぁ?」

 「どういうことだ。」

 「この箱にはお前の魂だけを封じ込めた。つまり今、お前の肉体は私が操っている。

 勿論、急がないとお前は何もかも失うことになる。部下、友人、そして妻。全てだ!」

 「ふざけるな!早くここから出せ!」

 「出たいなら私とゲームしよう。もし私に勝ったら出してもいい。」

 「何をするんだ?」

 「なぁに、ただのかくれんぼさ。」

 「……まさかこの街を使って、お前が隠れるのか?」

 「鋭いな。そうだ。ルールは簡単。お前は、この街のどこかにいる私を見つけて、

 このナイフで私を刺せ。そうすればお前の勝ちだ。」

 そう言って女の霊は、僕にナイフを手渡した。するといつの間にか女の霊は消え、

 どこからか、声が聞こえてきた。

 〈10秒後にスタートだ。〉

 僕は早くあいつを見つけて元の世界に戻らなければならない。そして女の霊がカウントダウンをとる。

 〈10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…0…ゲームスタートだ!〉

 僕は走り出した。元の世界に戻るために……。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ