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打球は快音響かせて
高校2年
第三十五話 フィーバー
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、これどうぞー」
「あ、知花君、またチョコレートくれるん?ええよ、最近もらい過ぎとーけぇ」

ここは斧頃島唯一のスポーツジム。
激しいトレーニングの合間の休憩時間に、島唯一の私学・南海学園の野球部員、知花俊樹がアルバイトの葵にチョコレートを贈った。葵は苦笑いしてそれを断る。

「最近ダイエットしよるんよー。やけん、甘いモンも禁止。」
「えー、葵さん十分引き締まっとりますよー。なぁ、みんな!」

知花が周りの球児に尋ねると、皆しきりに頷いた。葵は、このジムにやってくる南海学園野球部員のアイドルである。

「そういやぁ、彼氏さんの高校、州大会出るやないですかァ。凄いっすねぇ、水面を勝ち上がったんすねぇ」
「そうよぉ。2位やったけど、あたしの彼氏はベンチにもちゃんと入っとるんやけん。」

葵は得意げに胸を張った。
知花はニヤニヤと笑いながら、周りの部員に呼びかけた。

「おう、州大会では、三龍潰すでぇ!俺らの葵さんをパクっとる奴を許しとく訳にゃいかんやろー!」
「「「おおーーっ!」」」

南学野球部員達は意気上がる。
知花は更に続ける。

「考えてみぃや!俺らは葵さんのこんがり焼けた肌しか知らんけど、あいつは“日焼けしよらん部分”も知っとーんぞ!許しておけんわー!」
「ちょっ……何言うんよ!まだそんな事しよらんけん!」

葵はかーっと顔を真っ赤にして憤慨した。
葵のその様子を見て、知花はガハハと豪快に笑った。

「お前ら喜べ!俺らの葵さんはまだ汚されておらんらしいぞー!」
「もーっ!お前はいつもいつもセクハラ発言しかせんのやけん!」

怒ってポカポカと知花の頭を叩く葵と、その様子に爆笑する南学野球部員。
のどかな斧頃島の夜に、高校生の無邪気な笑いが響き渡っていた。






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