幼い日の思い出
何も言わずに
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あの時感じた思いが、再び内側で渦巻いていく。激情が口から飛び出そうになるのを、懸命に堪える。
ああ、なんて無力だと、無意識の内に奥歯を噛みしめたイタチを気遣うような目で見ながら、火影はゆっくりと本題を切り出した。
「イタチ、カトナは平気か…」
「…けがはしていません」
「そうか…」
けがはしていない。
その言葉の意味により一層顔をしかめた火影は、イタチに渡したものとは違う報告書を見る。
書かれた報告書の内容は、違う人間が書いたというのに、全く似たようなもので。九尾という狐に対する嫌悪と憎悪が隠されているはずなのに、文章から絶えず溢れ、その文字一つ一つにさえ、感情が込められているようなもので。
火影は悲しげな顔を憤怒の顔に変えた。
里の誰も見たことがない、いつもは優しい顔をしている火影のその姿に、背後にいた暗部の一人がぶるりと体を震わせて怯える。
火影の激怒した顔を見たわけでもないのに、火影から漏れ出る怒気だけで、明確な死のイメージが浮かんでくる。
戦慄する暗部とは裏腹に、火影と向かい合っていたイタチは、いつもの無表情を保ったままであった。
内心では、目の前の火影に負けず劣らずの憤怒に身を焼かれ、燃やされ続けながらも、まるで何でもないかのように激情を内側にため込んでいく。
「カトナは九尾のチャクラを引き出せないように、無意識の内にリミッターをかけているのか。それとも、もともとの総量が少ないのかは分かりませんが、影分身一体を作るのでさえ、やっとの量しか使えません。
ですが、チャクラを扱う技術と、体術、…特に刀術は群を抜いており、最近では俺に一太刀を浴びせられるほどにもなっています。
対してナルトは、カトナの欠点を補うように、チャクラを扱う技術はまだまだですが、そのチャクラの総量は、あの年で俺や里の上忍達のチャクラの総量を上回っています。現時点でも10人ほどの影分身を作れるようです。印の結び方などはまだまだですが、鍛えれば、恐ろしいものになるでしょう」
そりゃあ、九尾とその血を分けたものなのだから、恐ろしくても当然だと、火影の後ろで暗部が密かに毒づく。
口に出せばその瞬間、目の前で淡々とした表情しか見せない、恐ろしいくらいに冷めた男から殺気が飛んでくることは変わっているので、あくまで心のうちだけでぼやく。
彼は面越しに、まだ十三歳の少年を見つめる。
うちはイタチ。
名門うちは家出身の天才。
第三次忍界大戦時、飛び級制度を活用してわずか五歳でアカデミーを卒業した、写輪眼のカカシに並ぶほどの才覚をもつ。
戦時下でないというのに、七歳でアカデミーを首席で卒業。八歳で写輪眼を開眼。十歳で中忍試験を卒業。
加えて、この年にして暗部という、全くもって異常な鬼才の
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