幼い日の思い出
何も言わずに
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を思い出して、慌ててその紙を元に戻そうとする。
そんな彼に火影は首を振った。ですがと言い募ろうとするイタチに、火影はもう一度、首を振る。
無言のうちに下された命令に、イタチは手を動かすのを止める。
代わりに、静かな瞳で火影を見すえた。
「…本当にそのようなことが起こると、火影様もお考えですか」
「いや、カトナが自らを律し続ける限り、そのようなことはないとみておる」
それは、彼ら以外の一部のカトナの秘密を知らない他人が聞けば、カトナのことを指した言葉だと思っただろう。
だが真実は、カトナに守られたナルトのことを示していた。
カトナが自分を九尾の人柱力だと語ることを止めない限り、九尾の人柱力は自分だと律しない限り、ナルトに悪意が向かうことはなく。そして、ナルトが九尾に自らの体を預けることはない。
この里は、この里に住むすべての人々は、彼女によって守られているのだとあらためて思い知らされて、イタチは舌を打った。
カトナが自分たちを守ってくれていると、虐げていないナルトこそが九尾の人柱力だと、彼らが知ったらどう思うのだろうかなんて、そんな、下らないことを思う。
言いたいと思って、けれどいうことはしない。
土台、言えるわけがないのだ。
カトナはそのために自分の体を犠牲にしているのだから。そんなことを言ってしまえば、カトナの全てを、今まであの少女が我慢し続けてきていた全てを、台無しにしてしまう。
けれど、無性に言ってしまいたくなった。
お前らが蔑んでいるのは、本当に力も何もない、ただの無力な子供だ。
お前らが蔑んでいるのは、家族を思い、自らの弟の為に犠牲になることを決めた、ただの少女だ。
何の力ももたないなりに、弟を守ろうと決めた、ただの幼子だ。
自分が腹を痛めて。そして、生まれてきたことを喜び、祝福してきた娘たちと同じような、そんな存在なのだと。
その事実を突きつければ、彼女が取り巻く環境も少しは変わるかもしれない。
そこまで考えて、イタチは自分の思考を否定する。
そんなわけがない。それだったら、もう、とっくの昔に変わっている。
真実を知ったところで、この場所は、何も変わらないのだろう。
彼らが欲しているのは、自分達のを憎しみをぶつけることを許してくれるような、大義名分を抱えた存在なのだ。
彼らがもしこの真実を知ったとしても、真実だとは認めず、不当な言葉と感情をぶつけるのだろう。
今まで一度も、カトナは九尾のチャクラを放ったことなど無いのに、九尾としてこの里を荒らしまわったことだって一度もないのに。
なのに、何も見ず、ただ来るかもしれないという可能性だけに怯え、それらしい言葉をつけ、自分達の身の安全を確保しようとする。
そして、抑えきれな
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