記憶の中で少女は笑う
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ないじゃん!あれはアタシの“霊化魔法”。アタシの肉体から魂抜け出して死んだ奴に取り憑く魔法さ。アンタを殺すのに丁度いいのがサヤだっただけで、別に生きてる訳じゃないんだよねぇ・・・てか、死んだ奴が生き返るなんて有り得ないし」
伸ばした手が、ゆっくりと下がる。
その拳が、痛いほどに握りしめられていく。
「アタシは“死の人形使い”だよ?死体の1つや2つ、魂憑けば簡単に操れるのさ」
「・・・ない」
「は?」
あっけらかんと語るマミー。
彼女は気づいていない。
その発言が、目の前でゆっくりと立ち上がるルーの怒りを燃え上がらせている事に。
「許さない・・・サヤを道具みたいに使って・・・ルーシィを傷つけて・・・許さない・・・」
「・・・何、コイツ・・・」
「サヤは道具じゃない・・・生きてた人間なんだよ。短い間だけど・・・生きてたんだ!」
ギッとマミーを睨みつけて、ルーが叫ぶ。
彼をうまく操っていたのは、マミーだった。
そして・・・彼をここまで怒らせたのも、マミーなのだ。
「その上ルーシィ傷つけてっ・・・もうお前に手を抜く理由なんてない!」
「はっ・・・?」
手を抜く理由なんてない。
ルーは確かにそう言った。
つまり・・・ルーはさっきまで、手を抜いていたという事になる。
「何?アンタ、アタシを舐めてたって訳?・・・随分アタシも弱い奴だと見られてたみたいだね!」
「弱いよ。お前は僕よりもずっと弱い」
「はぁ?」
ルーの言葉に、マミーはジロリと目を向ける。
その目に怒りが宿った。
「命を失ってでも守りたい人間の為に戦えないお前よりかは、僕の方が強いよ」
風が逆巻く。
ルーの足元に展開された緑色の魔法陣から、風が巻き起こる。
エメラルドグリーンの髪を乱すように揺らして、風は空気に溶け込んでいく。
はためくエメラルドグリーンの下で、黒い瞳が煌めいた。
「元素魔法・第二開放―――――発動」
静かに告げられた言葉。
それと同時に、足元の魔法陣が光を放つ。
「くっ」
「眩しっ・・・」
両腕で目を覆い、マミーとルーシィは顔を背ける。
バサバサと風で髪が靡く。
ゆっくりと目を開き―――――見開いた。
「なっ・・・!」
そこには、ルーがいた。
緑色の光を全身に纏ったルーが。
その姿から放たれるのは、圧倒的な存在感。
1度見たら2度と目が背けられないような――――そんな錯覚に陥りそうなほどの。
「ルー・・・?」
ルーシィが呟く。
それに答えるようにルーは小さく微笑み、紡いだ。
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