暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
記憶の中で少女は笑う
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一心で。
ここにティアがいてくれたら、と心のどこかで思いながら。
―――――ティアだったら、どうやってルーを目覚めさせるかな、と考えながら。





「ずっと一緒だよ、ルー」





鈴を転がしたような、サヤの声。
軽やかな声とは対照的な鈍い光を放つナイフが―――――投擲される。

(・・・ゴメンね、ティア。僕じゃ、助けられないみたい)

かつて自分に攻撃用の魔法を教えてくれた、姉のような存在のギルド最強の女問題児の姿を思い浮かべる。
最後の記憶に、青い髪と青い瞳の少女を焼き付けて、ルーは目を閉じた。










「ダメええええええええええええええええっ!」










その空気を、叫びが切り裂く。

「!」

その叫びに、ルーは目を開いた。
それと同時に、思いっきり突き飛ばされる感覚。
目に映る世界が斜めに傾いた。
そして・・・視界に小さく映る、サヤのものではない金髪。



(ルー・・・シィ・・・)



青いリボンが揺れたのを確かめたと同時に、ルーの目が見開かれる。
ドサッと床に倒れ込んだルーが体を起こし、まず目に飛び込んできたのは―――――

「ああああああっ!」

叫びながら左肩を抑える、ルーシィの姿だった。
ぺたんと座り込んだルーシィが左肩を抑える手の間から、血が流れる。

「っ・・・ルーシィ!」

気づいたら、ルーは駆け出していた。
無意識のうちにその手に淡い緑の光を纏わせ、大空治癒(アリエスヒール)を使う。
一瞬視界が揺れたが、今はそんな事気にしていられなかった。

「っルー・・・アンタ、何バカな事しようとしてんのよっ・・・!」
「ルーシィ・・・でも」
「でもじゃないっ!」

徐々に治っていく傷口を抑えながら叫ぶルーシィにルーが呟くが、遮られる。

「死ぬなんて許さない・・・誰が許しても、あたしとティアが許さない!アンタなんか、ティアに蹴られちゃえばいいのよっ!」
「えー・・・」

こんな状況ながら、ティアの蹴りを想像してルーは思わず顔をしかめる。
すると、それを見つめていたサヤが口を開いた。

「あーあ、標的は外れるわルーは殺せないわ・・・最悪の結果だね、こりゃ」
「え?」
「あのままルーが死んでくれたら、あとはサクッと令嬢サマの息の根止めるだけだったのにな〜」

残念そうな口調で語るサヤは―――――ゆっくりと、マミーへと戻っていく。
目からハイライトを失ったサヤは・・・砂のように、消えていく。

「サヤっ!」
「あれ?もしかしてサヤが生きてるとか思っちゃった?」

思わず手を伸ばしたルーを見て、マミーは口元に弧を描く。

「んなワケ
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