記憶の中で少女は笑う
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ったっけ?アンタが大好きな人を用意したよっ」
「は?」
意味不明な言葉に、ルーは聞き返す。
くるりと回転した光に反応するように、魔法陣が展開した。
「っ!」
「くっ」
パァァァァッ!と。
眩いまでの光が部屋を覆った。
思わず2人は目を瞑る。
ぎゅっと閉じた瞼の向こうで、光が治まっていくのを感じて――――――
「ルー」
鈴を転がすような、可愛らしい声が響いた。
「!」
その声に反応するように、ルーが目を見開く。
眩しさが消えた事をゆっくり確認しながら、ルーシィも目を開く。
「そ・・・そんな・・・まさか・・・」
ルーの声が震えている。
声だけじゃない―――――その後ろ姿を見るだけで、驚愕している事が解る。
「ルー?」
明らかに様子がおかしいルーを不思議そうにルーシィは見つめる。
ルーの見つめる先を見ようと、ルーシィは左に1歩進んだ。
そして―――――――気づく。
「久しぶりだね、ルー。あたしの事、忘れちゃった?」
まだあどけない声でそう問いかける少女。
ウェンディやココロより少し年下、ロメオより少し上ぐらいの少女は、その雰囲気に似合う可愛らしいワンピースを纏っていた。
「な、何で・・・何で・・・」
言葉が見つからないのか、ルーは戸惑うように半歩下がる。
それに合わせるように、少女は1歩前に進んだ。
「どうしたの?ルー・・・あたしを見てそんなリアクションするなんて、ルーらしくないよ?」
不思議そうに首を傾げる。
ルーはその少女から、目が離せなくなっていた。
そして・・・ルーシィも、目を離せなかった。
「あ・・・ああ・・・」
日が沈み、暗くなり始めた部屋の中で煌めく金髪。
茶色がかった、長い睫に縁どられた大きな瞳。
色白な肌に整った顔立ち、幼い中に大人びた雰囲気を持つ容姿。
その姿は、ルーにとって何よりも大事な少女の姿で、もう2度会えないと諦めていた姿で。
―――――1度でもいいから、会いたい少女だった。
「何で・・・君がここにいるんだ・・・」
嘘だ、とルーの中で声が響く。
そこにいると信じたい、とルーの願いがそれを弾く。
喜びや驚愕―――様々な感情を声に乗せて、ルーはその少女の名を呟いた。
「サヤ―――――――――――……!」
記憶の中で自分に笑いかける少女。
“ずっと一緒にいよう”と約束した友達。
あの日―――――10年前のルーの誕生日に、ルーが遺体で発見したはずの・・・!
「あ、あたし?」
思わずルーシィが呟く。
そう――――
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