暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
記憶の中で少女は笑う
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ない調子でウインクを1つ。
トン、と着地したマミーの左手には、きらりと鈍く光る刃。

「だから・・・」

ボサボサの髪を揺らし、マミーは左手に握りしめた刃をくるりと手の中で回す。
垂れ目で真っ直ぐにルーを見つめ、矛先をその視線と同じように真っ直ぐルーへと向ける。

短剣(これ)に突き刺さって死んでくれると嬉しいなぁっ!」

ブォン!と。
空気を切る音がルーシィとルーの耳に入り込む。
銀色の光を煌めかせた短剣は勢いよく壁へと突き刺さった。

「っ危ないなぁ、もぅ・・・あと1歩遅かったら僕の肩がグサッといってたじゃん」
「アタシ的にはグサッとが見たいんだけどね」

ギリギリで避けたルーの言葉に、マミーはケラケラと笑う。

「で?そっちの金髪令嬢サマは何もしないワケ?」
「ルーシィは何もしなくていいんだよ。こーゆー残酷な事には向いてないし、似合わない」

ルーシィはルーによって部屋の隅に押し退けられている。
最初のうちは戦闘に参加しようと思って鍵を構えたのだが、ルーとマミーの戦いに入る隙を見出せず、ルーに「そこにいて、ルーシィ」と言われてしまった為、ルーの勝利を信じて戦いを見届けているのだ。

「てゆーかさぁ、そんなに好きな女にいいトコ見せたいかね?」
「そういう訳じゃないよ。僕はティアを助けたいだけだ・・・で、お前は邪魔をする。だから潰す」
「ふーん・・・アタシからすると、アンタの方が邪魔なんだけどねー☆だからアンタを潰しても文句はないワケだ。相手を潰すって事は、自分が潰される覚悟はあるんだろうし」
「そりゃ、まぁね」

くるくると風のナイフを回しながら、ルーは何でもないように呟く。

「僕には、自分が死んだとしても守り抜きたい人達がいるから。死ぬ事だって覚悟してるよ」

スッ、と。
ルーの纏う空気が変わる。
いつもの愛らしい、幼さ全開の空気から―――鋭い刃のような空気へと。
その表情が年相応の青年のものへと変わり、ぐっと拳が握りしめられる。

「・・・へぇ、正規ギルドの奴にしては、随分度胸のある奴だね。歴代で1番戦いがいがあるよ」

ふわり、とボサボサの髪を払い、マミーは微笑む。
優しさのカケラもない冷たい微笑み、笑う仕草のカケラさえ消し去った冷酷な瞳。
漸く目の前の獲物を獲物と認識したような―――――そんな感じ。

「さて・・・アタシにここまで称賛させたのはアンタが初めてだからね。最っ高の魔法で持て成してあげよっかな」

瞳が光る。
表面上だけの笑みを浮かべたマミーの姿が煙がかっていく。

「?何を・・・」

ルーの呟きに応えるように、マミーの体がふわりと“消える”。
そこには、紫の光だけが瞬いていた。
楽しそうに、嬉しそうに。

「ルー・・・だ
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