PHASE-03 「学園」
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移動をしているところだ」
そいつはありがたい、とシンは思った。この際、休めればどんな場所でもいいと感じているぐらいだ。
「そりゃ良かった。移動に手続きにって、気を休める間もなかったですからね。この際、寝れりゃどこだろうと文句は言わないですよ」
ようやく休めると分かると、気分が軽くなる。シンは先程までより足取り軽く千冬に付いていく。
「それは助かる。丁度、男部屋が埋まってしまってな。仮の物なので、居住性が最悪なのだ」
少々バツが悪そうに返す千冬。だが、元々そう抑揚のある話し方でもない為、シンがそれを感じ取る事は叶わなかった。
程なくして、大型のドーム施設につく。ここか、とシンは思ったが何故か入り口を通り過ぎる千冬。
「何処まで行くんですか、入り口は過ぎましたよ」
思わず千冬を呼び止めるシン。
「いや、そこではない。もうすぐだ」
振り向いてそう返す千冬。土地勘もない為、案内人にそう言われては仕方がない。
ドームの外周を数分歩いたところで、千冬はようやく立ち止まった。
「着いたぞ、アスカ」
千冬にそう言われて辺りを見渡す。ドームの外壁以外には何もない場所だった。
いや、一つだけ見覚えのある物がある。
「アレって俺が乗ってきたコンテナですよね、何でこんな所に」
「学内で置いておく場所が他に無くてな、ここならアリーナから電源も取れる」
そう言われて見てみると、コンテナには外部電源のコードが繋がれている。元々、そういうつもりだったのか、ただの運搬用コンテナではなかったようだ。
「なるほど。で、俺は何処で寝るんです」
コンテナは路上に置かれているだけであり、周囲には林しかない。
「………ここだ」
「はい?」
こことは何処の事なのか、見る限り宿舎らしき物は辺りに見当たらない。
「あのコンテナだ」
「…………」
シンは思わず閉口してしまう。今は作戦行動中でもないし、自分はここの学生になったのだ。コンテナで寝泊まりはいくらなんでも、と言ってやりたいところである。
「……あくまで仮だ。何もずっと続く訳ではない」
この扱いは酷いと、流石に罪悪感があるのか、申し訳なさそうに言う千冬。
「そりゃ、寝れりゃ何処でも文句はないとは言いましたよ……。まぁ、良いや。どうせアンタに文句を言っても仕方がないんでしょうし」
「そうしてくれると、助かる」
そう言う千冬の声を聞きながら、シンはコンテナのドアを開ける。それらしいボタンが壁に増設してあった為、押してみた。コンテナ内に灯りが点くが、どことなく薄暗い。
自分が、乗ってきた時と寸分違わぬコンテナ内。奥にはISのケージも相変わらず鎮座している。決して広くないコンテナのスペースを無駄に占有されている為、シンとしては、外に放り出してしまいたいところだ。
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