PHASE-03 「学園」
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それから別段、やることもない上に揺れるコンテナの中で、シンは呆けているしかなかった。
そんな内にトラックは停車、コンテナのドアが開けられる。
「来たか、アスカ。随分と遅い到着だったな」
ドアの先には千冬が立っていた。相変わらずのスーツ姿、緊張感を辺りに漂わせているが、表情は比較的、軟らかなものだ。
本人が意識せずとも周囲を緊張させる、そういうタイプの女性らしい。
「そう言われても、俺の性じゃないですからね」
そう言いながらシンはコンテナから降りる。コンテナの中と比べて外は涼しかった。これなら帽子を団扇にする必要もないだろう。
夕焼けに染まる空を見ると、息苦しかったコンテナ移動のストレスも幾分晴れるというものだ。
ここがIS学園とやらの入り口か、とシンは鉄で出来た門を見ながら声を漏らす。
「コンテナはアリーナの横に降ろしておいてくれ。許可は取ってある。アスカ、お前は付いて来い」
その間に、トラックから降りてきていたドライバーに千冬は指示を出す。
千冬に指示され、トラックは走っていく。
トラックを追うように千冬とシンは学園に入った。どうせ同じ場所に行くのだ、なぜ門で降りるのか。千冬の後について行きながらシンはそんな事を考えていると、
「学生というのは外部から入ってくる物に目敏いだろう? 一応、お前には作業員の服装をさせているが、念の為、トラックを囮に使わせてもらった」
聞いてもいないのに、千冬が解答してきた。
なる程な、とシンは思った。思えば自分がアカデミーに居た時も、学生間でそういった情報はすぐに回されたものだ。
それ程、あの当時のシンは周りの事に興味を持たなかった。ルナマリアがよく教えてくれた事を思い出す。
軍に入隊する為にアカデミーに入ったが、まさかもう一度学生の身分になるとは、あの時の自分には想像出来まい。
かなり広大な学校らしい、数分歩いてようやく入り口が見えてきた。
「ここは……あの時の施設か」
学園校舎の入り口を見て、シンは思わず口を開く。どうりで通信設備がなかなか見つからない訳だ。あの時の謎にようやく合点がいく。
「そうだ、ここがIS学園だ」
◇
「さて、これでお前はIS学園の生徒になった訳だ」
いつになったら開放されるのか分からない中、シンは再び千冬に引き連れられている。
千冬と共に職員室で最終手続きを終え、校舎を出た時には既に日が暮れていた。
「そうですね。で、晴れて生徒になった自分はいつ学生らしく扱われるんですか」
皮肉を込めてシンは言う。コンテナに入れられらて移動、面倒な手続きばかりさせられ監視付きの移動。無理やりそんな身分にした割にはおおよそ学生らしくないだろう、という非難である。
「まぁ、そう言うな。今、お前の宿舎に
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