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駄目親父としっかり娘の珍道中
第58話 肉体死しても魂死せず
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た。

「何かすっげぇ腹立つんだけどこのガキ。殴って良い? 思いっきりコークスクリューパンチ決めちゃって良い?」

 額に青筋を浮かべながらにやにやしているフェイトを睨んでいる。が、その睨みを受けながらもフェイトは全く気にせずに銀時に対して嫌みったらしい笑みをぶつけている。

「にしても、部屋中真っ暗になっちまったなぁ。おい、どっかにブレーカーとかねぇのか?」
「こう暗くちゃ何も見えねぇよ。どっかに何か差し込む穴とか探してみてくれねぇか?」
「分かった。そぉい!」

 掛け声と共にフェイトが銀時のズボンの尻に向かい電脳管を迷う事なくスロットインした。
 無論その際の音は「カチッ」ではなく「ズボッ」と言う音だった。そして、その音と共に銀時の顔が真っ青に変色していく。

「いたたっ! 何しやがんだこのクソガキ!」
「さっき源外さんが言ってたじゃない。穴を探せって」
「だからって尻の穴に差し込む馬鹿が居るか! って、此処に居たか。そうだよなぁ、脳内お花畑のお馬鹿さん」
「何? 喧嘩売ってるの? 今なら割り増しでも買うわよ」

 またしても睨みあいが始まる両者。最早付き合いきれないと言った感じだった。

「またアルよ。じじい、他に組み込めるからくりとかないアルかぁ?」
「無茶言うな。せめて外で暴れてたからくりメイドとかなら何とかできるだろうが……ってか、外が騒がしいなぁ」

 電気が切れた事により機械の音が消えた為か、外の音に皆が気付いた。犬の鳴き声となのはが何か言っている声が聞こえて来る。
 とりあえず真相を確認しようと外に出ると、其処には定春が一体のからくりメイドを咥えており、そのからくりメイドに向いなのはが話している風景が映っていた。

「ねぇ、くりんちゃんもさっき見たでしょ? 私の手からビームがズギュゥゥンって出たの?」
「お掃除ですのぉ。お掃除ですのぉ……」
「だぁかぁらぁ! お掃除じゃなく、手からビームがそれこそズバボォォンって出たの見てたでしょってばぁ!」

 其処で繰り返されていた会話は余りにも無駄で無意味な会話だった。なのはが自分の成した偉業を語っているのだろうが、それに対して壊れたからくりメイドはただ一つの言葉を連呼するだけであった。
 しかしまぁ、壊れているとは言えからくりメイド。これさえあれば電脳管を差し込んでたまの記憶を再起動させる事が出来るだろう。

「やるじゃねぇか。流石だぜポチ!」
「ちげぇよ。ポチじゃなくて定春アル!」

 源外に続き、各々が工房の外へと躍り出た。真っ暗な工房の中に居るよりは外に居た方が幾分かは明るいだろう。そう思い出た一同を出迎えたのは夜空を照らすまん丸な月の光だった。
 今宵は何時にも増して月が美しく輝いている。月見酒が美味いだろう。
 
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