第58話 肉体死しても魂死せず
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そう言って神楽が天井の小さな穴から見える数個の星の輝きを見てそう呟いた。既に日が西に傾き、赤い夕日が徐々に沈み始めている。そろそろ夜になる頃合だ。
ふと、だれかのすすり泣く声が耳に入りその方を向くと、何故か大粒の涙を流しているアルフが居た。
「何泣いてんだ? お前」
「うぅ……だってさぁ、あんたらの話聞いてるとむしょうに悲しくなっちまってさぁ」
「ったく、お前は泣き上戸かよ」
先の話を聞いて其処までされた事に銀時は何処か気恥ずかしさを感じたのか、照れ隠しにそっぽを向いて頭を掻き毟りながらたまの方へと向った。
たまは俯いていた。やはり、その視線は何処か悲しさがうかがえる。
「どした。まさかお前まで悲しくなったなんて言うんじゃねぇだろうな?」
「いいえ、そうではないのです。ただ、私の中の種子が反応を示さないのです」
「反応?」
「はい、私の中にインプットされているプログラムは、林博士とその娘芙蓉様を守る事なのです。ですが、今の伍丸弐號を見ても、私のプログラムは何の反応を示しません。銀時様、私はどうしてしまったのでしょうか? これはバグなのでしょうか? これは修理すれば直るのでしょうか?」
如何にもからくりらしい発言だった。その発言に、銀時は軽く溜息にも似た吐息をした後、真剣な面持ちでたまを見た。
「それは違うぜ、たま。それはお前の中にある魂があいつを否定しているだけだ。あいつは林博士何かじゃねぇ! ってな」
「魂? それは何ですか? 種子のことですか?」
「違ぇよ。種子だのデータだの。チョンと触っただけでぶっ飛ぶ様な代物じゃねぇ。本当の魂や記憶ってのはなぁ、何回電源切ろうがブレーカーが落ちようが初期化しようが、消える物じゃねぇんだよ」
バツン! 突然目の前のたまが消え、辺りが真っ暗になってしまった。
その光景に一瞬銀時は何が起こったのか全く理解出来なかったが、徐々にそのショックから立ち直り、目の前の現実を理解しだした。
「ありゃりゃ、ブレーカーが落ちちまったなぁ。やっぱこのからくりは電気を結構使うからなぁ」
「あっそうなの? あれ、何か俺すっごい恥ずかしいんだけど。何、この空しい感じ。カッコいい台詞を一人言で言ったみたいな空しくて恥ずかしい感じがするんだけど、ってかじいさん! そのからくりから煙出てるぞ!」
「何? いかん、やっぱあり合わせじゃ無理があったかぁ」
結局あり合わせだったようだ。そりゃ無理もあるだろう。
「おいおい、大丈夫かよ? またデータぶっ飛んでたりしないか?」
「大丈夫でしょ。大事な記憶ってのは何回電源切ろうがブレーカーが落ちようが消えないってさっき言ってたじゃない」
からくりから電脳管を抜き取りながらフェイトが嫌みったらしい顔でそう言ってい
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