第58話 肉体死しても魂死せず
[1/9]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
目の前が真っ白になる気持ちに皆がなっていた。現在銀時達の目の前では黒煙を巻き上げ、更に火花を撒き散らしている転移装置の姿があった。
原因は源外の言っていた通り、無理やりフェイトが転移してきた際の負荷が原因だと言われている。
こうなってしまってはあちら側の世界に逃げる事も出来ない上に、アースラへ救援を要請する事も出来ない。逃げ道を完全に塞がれてしまった事になる。
「どうすんだよこれ! 俺達このまま二進も三進も出来ねぇじゃねぇか!」
こうなれば最早叫ぶ他に道はない。とばかりに銀時は喚き散らした。無論、そんな事をしたって状況が好転する筈もなく只やかましいだけだった。
「銀ちゃん五月蝿いネ。オモチャをねだって駄々をこねるくそがきかコノヤロー?」
「うっせぇ! 今の俺はなぁ、マジで叫ばないとやってられねぇんだよ!」
やけっぱち状態の銀時だった。
「大体、元はと言えばてめぇが無理やり転移して来たのが原因じゃねぇか! 責任取れごらぁ!」
「何、私にいちゃもんつける気なの? あの時助けてあげた恩を忘れたって言うの?」
溜りに溜まった鬱憤のぶつけ先が見つからず、仕方なく身近に居たフェイトにぶつける事にした銀時。無論そんな八つ当たりなどされてフェイトが黙ってる筈もなく、結局またしても喧嘩が勃発する羽目になってしまった。
激しく、そして醜い罵倒しあう喧嘩が行われているがそんな事に一々首を突っ込んでなどいられないので無視する事にした。
一々相手にするのも骨が折れるし。
「はぁ、つまり今の所私等には打つ手がないって事かい?」
「う〜む、一概にそうとは限らんだろう。ま、そう言う事はこいつに聞いてみるのが一番だろうな」
源外がそう言うと同時に、テレビの画面が切り替わる。其処に映っていたのはこちらをただじっと見つめるたまであった。
「たま! 何で其処に?」
「新八様が連れ去られる前に私の頭部から中枢電脳管だけを抜き取り、源外様の元に投げ渡してくれました。お陰で種子のデータを守る事が出来ました。これは不幸中の幸いと言えます」
どうやら新八もただやられただけではなかったようだ。流石は新八と言える。
「たま、教えろ。さっき映っていたあれは何だ?」
「皆様が見ました通り、あれは林博士自身です。ですが、林博士は実際には既に死亡しています」
「どう言う事だ?」
「林博士は、生前の内に自分自身すらも実験台に用いていたのです。ですが、それは人体に深刻な影響を及ぼす危険な実験でした。林博士は自分の命と引き換えに伍丸弐號に自分の人格データを全て移植したのです」
淡々とたまは語る。マッドサイエンティストの域に達するであろう恐ろしい林博士の最期の実験を。
まさか、自分の命すら実験材料に使うとは
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ