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リメイク版FF3・短編集
友のために・年少編
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れそうにないから────体中、めっちゃ痛いんだ……っ」

「お前一人置いてくわけにいかない。それに……、自分一人戻った所でお前の幼なじみが喜ぶはずもない。……花も自分が持とう、よこしてくれ」

 半ば強引にそれを受け取った上で、有無を云わせずそっと腕をとって自分の肩に回し、背負いの姿勢をとる。

──── なるべく速く歩こうと努めるが、自分も少なからずダメージを負っているのとケガ人を背負っている手前、足早とはいかない。

………ふと、うなだれていた銀髪頭から耳元に問いかけられる。

「おまえ、さぁ……、名前、なんて云うんだっけ………」

「自分はお前に名乗った覚えはないが、姫さまから聞いていなかったか? ──── イングズだ」

「そう、だっけ……。おれって名前、教えたっけ………?」

「初めての出会いがしらに、お前から名乗っていただろう。『おれはルーネス! ウル村出身だ! おまえ、おれとジンジョーにしょおぶしろ!!』────などと云ってきたな」

「それ……、マネしてるつもりかよ……。けどおまえ……、さいしょは全然あいてしてくんなかった、よな………」

「手合わせしてみたら、と………姫さまに云われるまでは、な」


─── また少し間を置いて、銀髪頭が話し出す。


「アルクゥ、さ………おれが目をはなした隙に、村の悪ガキに連れられて、ふざけて湖に落とされたんだ……。おれが探しあてたときには、もうおぼれかけてて……。何とか引き上げて家に帰ったけど────
そのあと高熱出して寝込んじまって………。何日たっても、熱下がんなくてさ……。おれの、せいなんだ……。おれが、ちゃんとアルクゥ守ってやれなかった、から────」


「こうして姫さまの元を離れている時点で、自分も守りきれていないな………」

「 え …… ? 」

「どんなに強くなっても、常にそばにいて守り続けることなんて、できないのかもしれない。───だからって、強くなることをやめるわけにはいかないけどな」

「よく……、わかんないよ。おまえって、めんどくせ〜……っ」

「ふ……、そうだな」

「おれも………強くなりたい。守れる時に、ちゃんと守れるように」

「あぁ………時々なら付き合うよ、手合わせくらいは、な」

「うん………いっしょに来てくれて、ありがとな、イングズ────」

「………! おい、ルーネス?」

 眠った、のか? いや、また意識を失って……! 早く、村に戻らなければ。
だが……、ここはどの辺りなんだ。雨も少し強くなってきた………視界も悪い。このままだと────?

なんだ、向こうに、青緑色の、光が………? 思わず、吸い寄せられるようにそこへ行く。

──── 透明
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