友のために・年少編
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「わかってるっての! ドラゴンが出てきたって、へでもないぜっ」
こいつはドラゴンの恐ろしさを知らないな。自分も兵士長から話を聞いただけで、実際にまみえたことはないが ────
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はぁ、はぁ………。さんちょーふきん、まだかよ……?!」
「だいぶ登ってきたはずだが、まずいな………もう日が傾き始めている」
まだ今の所、ドラゴンがいるような気配は感じられないが………。
「 ──── あっ、見ろよあれ! 薄桃色の花!!」
その希望に満ちた声に目をやると、崖すれすれに三輪まとめて風に揺られながら咲いている。………何も、あんな所に生えなくても。
「よっしゃ! 今抜き取ってやるぜ……っ」
「おい、気をつけろ。勢いあまって崖から転落でもしたら ──── 」
ふと上空から、いやな風が巻き起こる。………目をやると案の定、灰色の鱗に覆われた大きなドラゴンが ─────
「取ったぜー!!……って、うわあぁ?!」
ドラゴンの羽ばたきで巻き起こる強風のせいか、あいつが崖から落下………!
すんでの所を自分が何とか片足をつかみ留める。
──── しかし状況は悪くなるばかりだ、すぐ上にはドラゴンが強風を起こしながら自分たちを睨みきかせている。くそ、何とかしなければ………!?
──── いや、できなかった。するヒマさえ、与えられない。
ドラゴンは長い尻尾で、自分達をなぎ払い落とした。
二人もろとも、崖下へ落下してゆく ─────
《マダ……シンデハナラナイ………オマエタチニハ……ヤルベキコトガ……… 》
う……? なんだ、今の声は ────生きて、いる?? 体中の、あちこちは痛むとはいえ、あの高さから落ちて、よく生きていたものだ。
山の、ふもとの森……? かなり、暗い……。日は暮れてしまったか────そうだ、あいつは……!?
暗がりに目をこらすと、少し離れた場所で三輪の花を守るように、両手を祈るように合わせたまま、横向きに倒れている。
「おい、お前……、しっかりしろ……!」
「……うっ、ん ────」
呼びかけに反応して、微かに身じろいで意識を戻す。
──── 良かった、こいつも生きていた。小雨もぱらついてきたな………、いつまでもこんな所にはいられない。
高熱病に苦しめられている少年のためにも、一刻も早く特効薬の材料となる花を、届けなければ。
「お前……、立てるか? ムリなら自分が背負っていく」
「おれの、ことはいいよ……。はやく、この花……、アルクゥに届けてやってくれよ……。動けるおまえなら……、すぐに持ってけるだろ……。おれ、走
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