友のために・年少編
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ーネス、あなたとイングズを仲直りさせに来たの。あのまま、ケンカ別れしてほしくなかったから………」
「はぁ? 今そんなことしてる場合じゃないんだよ! アルクゥが……アルクゥが高熱病で、もう何日も熱が下がらないんだ……!!」
アルクゥ ───こいつと同じ村育ちの気弱そうな少年か。……そんなことになっていたとは。
「お医者さまによると、高熱病に効く特効薬の材料になる薄桃色の花が今不足してるらしくて………。それを取りに行こうにも、あのドラゴンの住む山の山頂にあって、今はちょうどそのドラゴンの産卵期だからって、村や町の大人たちは行こうとしてくれないの……!!」
少女が涙目ながらに訴えてくる。レフィア……、この少女はカズスの町の出で、ウル村とも近く交流もある。……心配するのも当然か。
「なんですって……! それはいけないわ、イングズ! すぐ城に戻って、兵をドラゴンの住む山へ出兵させましょうっ!」
「は、はい……!」
「そんなの待ってられるか! どうせ城の連中も尻込みして行こうとしないんだろ……! 大人になんか任してられない、おれ一人でも行く!!」
「待ってルーネス! だったらあたしも……!?」
あいつは既に駆け出して村を出てゆく。────放っておくわけにもいかないな。
「待て、レフィア。……君はここに残れ、自分があいつを追う」
「え……? イングズ、あなたまさか……!」
「姫さま、自分はあいつと共にドラゴンの住む山へ向かい、特効薬の材料となる花を見つけてまいります」
「何を云ってるの……?! 城の兵たちを待つべきよ!」
「大丈夫です。ドラゴンと相まみえてしまっても、いざという時はあいつを連れて逃げます。兵法のひとつ………、引くことも心得ています」
「だからって、あなたはまだ見習いで……!」
「城へ戻る際は、村の者を何人かお連れ下さい。ドラゴンの住む山でなければ、快く引き受けてくれましょう。───ではサラ姫さま、行ってまいります!」
「待って、イングズ……!?」
─────自分はこの時、もう振り返ることはなかった。
「 ──── なんだおまえ! 付いてくんなっ」
「………気にするな、お前は前だけ見てろ」
ドラゴンの住む山 ──── 一度訓練で訪れたことはあるが、その時は姿を見なかった。
今は産卵の時期とかでいるにはいるだろうが、たまたま巣を離れている可能性もある。
それに掛けたい所だが………。
「アルクゥ、まってろよ、もうすぐ薬の材料みっけて持ってってやるからな……!」
「薄桃色の花、だったな。山頂付近まで行かないと見つからないという………」
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