友のために・年少編
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「 ──── スキありっ!!」
こいつ……、城に忍び込んだあげく、自分に勝負を挑みたった今負けたくせに、後ろから不意うちするとは……!
──── 自分としたことが、気づいた時には持っていた木刀を放り投げ、殴りかかって"そいつ"と取っ組み合いしてしまった。
姫さまの目の前で ──── 何たる愚行。
その後、二人して兵士長にこっぴどく叱られ、あいつは一人城から放り出された。
……自分は挑発に乗った精神的弱さを指摘され、いつも以上に厳しい鍛練を積まされる。
そうして、幾日か過ぎたある日────
「あの子……、最近お城に忍び込んでこないわね。他の二人も、時々一緒だったりするけど」
「……あいつは城をただの遊び場としか思っていません。むしろ来なくなって清々するというものです」
「でも、あなたにせっかくできた年の近いお友だちよ。大切にしなきゃ」
「そんなものは要りません。自分には、姫さまがいれば ──── 」
「……ふふっ、そう云ってくれるのはうれしいけど ─── ダメよ、わたししか心の許せる人がいないのは。あなたには、同じ男の子のお友だちが必要なのよ。城では、年の離れた兵士ばかりでしょ? あなたが裏で、厳しい扱い受けてるの、知ってるんだから………」
「 ────── 」
サラ姫とサスーン王に殊更ひいきされた、見習い兵士の小僧 ──── それは、自分のことだ。
周りがどう云おうと、自分は姫さまを守るためだけに、兵士として強くなればいい。
………この時は、そう思っていた。
「 ──── そうだ! ねぇ、今からこっちがお忍びであの子のいる村に行ってみない?」
「は……? な、何をおっしゃるんですか…!?」
「仲直りよ、なかなおり!………そうと決まったら、さっそく秘密の裏口から出ましょっ!」
「ひ、姫さま? お待ち下さい……!」
この方は、こうなると自分ではとても止められない ─────
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウル村にやって来ると、のどかな村の様子が少し慌ただしくなっており、村入口付近では見覚えのある少年と少女が云い争っていた。
「大人も行きたがらないのに、あんた一人で行ったってどうにもならないでしょ……!?」
「じゃあこのまま黙ってあいつをみごろしにしろってのか……?!」
「 ──── どうしたの二人とも、何かあったの?」
「……え、あっ、サラ姫さま!? あなたこそ、どうしてここに……??」
「なんだよ、見習い兵士もいるじゃんか。何しにきたんだよっ」
──── いつもヘラヘラしていると思えば、今回は珍しくイライラしているらしい。相変わらず姫さまを前に、無礼なヤツだ。
「ル
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ