第二部 vs.にんげん!
第18話 いざすすめはめつへのびょうしん!
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したと受け入れるのは難しかった。
「いずれ必ず耳に入るだろうから今の内に言っておく」
サドラーが身を乗り出してきた。
「バルデスさんは死んだ」
ウェルドは慌てて起き上がろうとし、されど力が入らず、縫いつけられるように再びベッドに頭と背を打ちつけた。
「――って言っちゃあ語弊があるな。まだ生きてはいる。けど同じ事さ。紫の剣に斬られたら、どんなかすり傷でも助からねえって事は知ってるだろ。駄目だったんだ……俺一人取り押さえるだけならよかった。だけど三人同時にゃ無理だった」
力も、気力も抜けていく。ウェルドは呆けた顔で、天井に向かって瞬きした。どうすればいいかわからなかった。サドラーは話し続けた。
「あんたが別室に隔離されてるのは、寝てる間に一思いに殺そうとした奴がいたからさ。気をつけろ……だけど忘れるなよ。あんたは一人じゃねえ」
ウェルドはその日、退院を希望する旨をティアラに申し伝えた。
翌日、シャルンとアーサーが病室まで迎えに来た。
「ウェルド!」
何を言われる事かと身構えていたが、拍子抜けするほどシャルンは明るく、笑顔が眩しかった。
「よかった、歩けるようになったんだね! 本当に心配したんだよ!」
「僕もだよ。本当に良かった」
二人は町中だというのに、槍と剣をそれぞれ携えていた。ウェルドはそれを見て察した。
ただの迎えではない。護衛として寄越されたのだと。
それほど自分は恨まれ、憎まれているのだと。
「驚いただろ? 君にとってはいきなり季節が冬になったみたいなものだからな。君が目覚めるまで三か月……四か月かな……それくらい時がかかったんだ。僕たちもずっと煉獄に潜っていたせいで、地上でどれくらい経ったかよくわからないけど」
「煉獄?」
「詳しい話は後にしようよ。それより宿舎に戻ろ。ね?」
シャルンが真冬用の防寒着を渡してくれたので、それを来た。
「目が覚めたって聞いた時から、退院できるようになるのをずっと待ってたんだよ。本当は退院パーティーでもしたいところだけど、さすがに大っぴらに騒げないからね。だけどみんな無事だし、みんなウェルドが目覚めてほっとしてるの。これは本当だよ」
「悪ぃな」
ブーツの紐を結びながら、ウェルドは尋ねた。
「ノエルとディアスはどうしてんだ?」
答えがない。
ウェルドは紐を結ぶ手を止め、顔を上げる。
二人はひどく沈鬱な顔をしていた。
「……何だよ」
シャルンはベッドの向こうの衝立を一瞥し、暗い調子で呟いた。
「ディアスがまだ、目を覚ましていないの」
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