憎悪との対峙
22 秋から冬へ
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れないし」
「あぁ、君が登校してくるまで待ってたよ」
「!?」
次の瞬間、不気味な男の声とともにスズカのこめかみの部分に冷たい金属の物体を押し付けられた。
ちょうど保健室の前だ。
スズカは恐る恐る声の方向を向いた。
そこには黒いスーツに紫のネクタイをした男がベレッタM92を握って立っていた。
「響ミソラは?」
「.....今日は体調を崩して休み...」
「そうか、でもまぁいいや。君程の有名人が人質ならこれでもう十分だ」
そう言って男は銃を向けたまま、スズカに歩かせた。
『ちょっと!乱暴しないで!!』
「心配せずとも手荒な真似はしない。君たちが変なことをしなきゃね」
アイスの抵抗も虚しく、スズカは無理に背中を押され3階の会議室まで連れて行かれた。
「みんな...」
「スズカちゃん...」
「スズカちゃん!?どうして!?」
「静かに!!」
会議室には既に何人もの生徒がいた。
陸上部のエース、有名少年作曲家、これまで何度もあらゆる賞に輝いた画家などの生徒たちが自分を含めて19人。
この学校は芸能界との繋がりが深く、多くの音楽、美術、スポーツなどあらゆるジャンルの才能を持った生徒が在籍している学校だ。
その中でもここにいるのはこれからの芸能界を先導する人材の一部だった。
「まぁ皆さん、この学校のエースの方々だ。響ミソラ以外は」
黒服の男と女が数人入ってきた。
全員が片手に銃を持っている。
「中には朝から熱心もとい馬鹿みたいにグラウンドを走っていて連れて来られて不快な思いをしている人もいることと思う。だけど君たちには拒否する権限はない」
「ちょっと!?何でよ!?」
「ふざけんな!!」
多くの生徒は非難の声を上げ、反抗するが次の瞬間黙り込んだ。
黒服の1人が天井に向かって発砲した。
「キャァァ!!!」
「恨むなら人より優れて生まれた自分たちを恨むんだな」
「次に騒いだら、1人ひとり殺していきます。そのおつもりで」
黒服たちはそう言って笑顔を作った。
スズカを含めた生徒たちは震えながらテーブルの下に隠れたり、その場に跪いたりしていた。
今まで一度たりとも経験のないことだった。
映画で銀行強盗が登場したりするような展開は何度か見たことがあった。
しかしそれが現実として起こっていると思うと信じられない程の恐怖に襲われた。
逆らえば本気で撃ってくる。
近くにあるだけで吐き気がするほどの本物の殺意というものに初めて出くわしたのだ。
正気を保つことが出来ない。
しかしスズカは正気を保つどころか、立っていることすら危うかった。
「ウッ...」
『ちょっと!スズカ!?』
スズカは貧血で倒れた。
ここ数日の疲労、そしていきな
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