憎悪との対峙
22 秋から冬へ
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になったのだった。
これまでは全てネットワーク制御に移行し、これまでハンドルを握ることに情熱を注いでいたドライバーたちは窓際部署に移動にしたというのに、こんな状況では彼ら以上に頼れるものがいないという何十年も時代が逆行したような世界へと変貌しつつあった。
「才葉シティで道路にバスが走ってるの久々に見たよ」
「才葉シティは最新のテクノロジーが採用される実験都市的な面もありましたからね。普通の街なら今でもバスは走ってます。それを考えると他の街の住人なら驚くことでもないですよ」
「でも怖いよね。インターネットがないとこんなに社会のバランスが崩れるんだもの」
スズカは現代社会の脆さを痛感しながら、ポケットからiPhoneを取り出した。
これで電話したのは昨日が初めてだった。
仕事の関係上、いつでも連絡が出来るツールは持ち歩かなくてはらない。
ケータイショップでは今、多くの人が訪れ、契約することすら難しくなっているらしい。
ホーム画面から電話帳を開き、一応、仕事関係の人間の連絡先がひと通り入っているかを確認するが、少し目が霞んだ。
そんな時、トランサーから声が聞こえた。
『スズカ、少し顔色悪いわよ?大丈夫?』
「アイス....大丈夫だよ。ちょっと眠いだけ」
声の主は自分のウィザード『アイス』だった。
数年前から自分の仕事のアシスタントをしてくれるようになり、今ではもう1人のマネージャー兼友達といった関係にまで進展していた。
アイスは心配性な部分があった。
『ならいいけど...でも無理しないようにね。学校の勉強より体調の方が大事よ』
「分かってるよ....」
スズカは水を飲むと、一度背伸びをした。
そして外を見た頃には高速を降り、学校の門をくぐっていた。
「では3時頃に迎えに来るので」
「分かりました。何かあったら連絡します」
スズカは車から降り、玄関に向かった。
だが少し違和感を感じた。
「あれ?先生たちまだ来てないのかな?」
『そうね。もう7時半だし、そろそろいてもいい頃だと思うけど』
「映画に出てきそうなジープとか停まってるけど」
『確かに...学校も静かすぎるわ。いつもなら陸上部とか朝練とかやってるはずなのに。しかも電波が変よ、さっきから全く校内のローカルネットワークに接続できないわ』
「え?....ケータイも圏外...どうなってるの?」
スズカとアイスは違和感を覚えながら、下駄箱で靴を履き替える。
そこには大量のラブレターが詰まっていた。
スズカはその多さに驚きながら、一応開いてみた。
「あちゃ〜...3週間も前の放課後に呼び出されてる」
『いいのよ。スズカを軽々と呼び出して告白なんて10年早いわ』
「でも悪いことした気分。来ると思って待ってたかもし
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