『第四十話』〜探求〜
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
拓斗side
「長期休暇?」
「はい」
ヴォルケンとの戦闘から三日後の朝。
場所は職員室。俺は長期休暇を取るために担任と話していた。
「いきなりだな。どうしてだ?」
「俺が万屋を営んでいるのはご存知ですよね? それで海外の依頼が一度に入ってしまったんですよ」
「それで、長期休暇を取りたいと」
「その通りです」
これは半分本当で半分嘘だ。確かに海外の依頼は一度に来ている。長期休暇をもらわないと全てをこなすことは出来ないだろう。
しかし、本音ははやてを救うために必要な『アレ』を探すためだ。
普通だったらこの二つを並行でこなすのは無理だが、シャマルを気絶させたときの魔法がある。
説明しといたほうがいいか?
あの魔法の名は『五人仙多異(ごにんせんたい)』
実態のある分身を作り出す幻術魔法だ。
この分身はそれぞれが自我を持っていて、操作を行う必要がないためとても便利だ。
この魔法の源流は古代中国戦国時代まで遡ると言われている。
魏の曹操が遠征に出た際、深い山の中に迷い込んだ時のこと、彼の前に五人の仙人が現れた。
その姿は五人とも全く同じであり、曹操はそれを妖怪の類と断定しその内四人を斬り捨てた。
するとその四人の亡骸が残った一人の元へと集まり、一人の仙人となった伝説から生じている。
民明書房刊『古代に学ぶ仙人の術』より抜粋 by作者
「普通の休みならともかく、いきなり長期休暇は無理だ。せめて数日前から言ってくれれば……」
「いきなり入ってしまったものですから。出来れば昼には空港に着きたいんです」
「そう言われてもな。出来れば今日は仕事の予定を遅らせて出席しろ」
「は? そんなの出来るわけないじゃないですか」
仕事を遅らせる? それは自営業の人間にとって『店を潰せ』と言ってるようなものだ。
自営業は信頼が命の仕事だ、それが探偵や万屋なら尚更。
この担任はそれを分かってて言ってるのだ。
「それは分かってるが……正直、俺の知ったこっちゃない。俺は自分の仕事をするだけだしな」
…ほぉ? コイツはこんな自己中野郎だったのか?
「……では、今後先生の依頼は一切無視、拒否させて頂くのであれば出席させt「よ〜し任せておけ! 主任は俺が何とかしとくからな! ほら、時間ないんだろ? 早く行きな!!」分かりました。ありがとうございます」
フッ……軽すぎ。
この自己中担任は俺のお得意様だ。というより、この人は依存と言った方が正しい気がするが……
因みに依頼内容は主に合コンのセッティングと恋人の浮気調査だ。どちらも既に何十回も受けている。
……しかし、浮気調査の対
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ