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戦国異伝
第百六十話 四人の男達その十四

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「ではそうしようぞ」
「さすれば」
「今は」
 龍興達も応える、こうしてだった。
 本願寺は今の戦に大きく疑問を感じながらも籠城することにした、そしてその上で時を待つのだった。そうして。 
 その本願寺を見つつだ、信長も言った。
「あの寺は何とかしたいのう」
「この戦で、ですな」
「何としても」
「うむ」
 その通りだとだ、信長は周りの問いにも頷いて返した。
「攻め落としたいものじゃ」
「ですが殿」
 ここで言ってきたのは秀長だった、彼が言うには。
「佐吉からの文によりますと」
「ここで攻め落とすのはじゃな」
「敵が紀伊に逃げれば」
 その時はというのだ。
「先に紀伊を抑えねばなりません」
「それはわかっておる」
 信長もこのことはわかっていた、当然のこととして。
「その場合は止むを得ぬ」
「紀伊をですな」
「攻め落とす、しかし出来ればな」
 紀伊を攻め落としてもそれでもだというのだ。
「石山はな」
「何としてもですな」
「この戦で」
「攻め落とし本願寺は滅ぼさぬまでもじゃ」
 それでもだというのだ。こう家臣達に話す。
「あの寺からは出てもらう」
「石山からですか」
「そうしますか」
「力が大き過ぎるから二つにも分けたい」
 本願寺の分裂、それも考えているというのだ。
「そう考えておる」
「本願寺の分割ですか」
「それですか」
「本願寺は下手な大名よりも強い」
 この戦いでそのことを強く認識した、信長にとってこの度の戦はそうしたことも考えさせたのだ。
「だからな」
「本願寺を分けてですか」
「これまでの様な力は持たせませぬか」
「絶対にな」
 これが信長の本願寺への政の考えだった。
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