第七話 三人目その十
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「それで奈良県のマスコットって知って」
「ああ、遷都千三百年か」
「その記念からだったわね」
「もう嫌で嫌で仕方なかったわ」
奈良県民の多くがそう思ったという、ここまで本来とは全く逆の意味で有名になってしまったマスコットもないであろう。
「それで対抗馬が出たり」
「本当に嫌がられてるな」
「呪いみたいね」
「本当に呪われてるわよ、あのマスコット」
これがマスコットキャラへの言葉である、信じられないが。
「妖怪そのものよ」
「じゃあ彦根とか船橋が羨ましいとかか」
「あと熊本と」
「いいわ、可愛いゆるキャラがマスコットの場所は」
これまた本音を言った裕香だった。
「和歌山だっていいマスコットだし」
「何で奈良県だけなんだろうな」
「ああなのかしら」
「全くよ」
こうした話もした、奈良県のゆるキャラについて。
三人はお互いの親睦を深めた、だが。
こうした話をした次の日だった、智和から聞いた話を聞いて三人共顔を曇らせたのだった。智和は三人を昼に屋上に呼んでその話をしたのだ。
「残念だけれど今のところは」
「わからないのかよ」
「怪人の実態が」
「知り合いの生物学の権威の方にお願いしています」
言葉は現在系だった。
「けれどまだ」
「わからないんですね」
裕香が暗い顔で智和のその言葉に応えた。
「何も」
「どうにも複雑な遺伝子構造とのことで」
「ではまだ時間がかかりますか」
「研究者、生物学者としては確かな方なので」
智和はこのことは保障した。
「必ず確かな結果を出してくれます」
「では時間がかかっているだけですか」
「そうだよ」
それだけだというのだ。
「だからまだ」
「待って欲しいというのですね」
「そう、待ってくれるかな」
「まあわかるんならな」
それならとだ、薊が納得した顔で応えた。
「それでいいさ」
「待ってくれるかな」
「確かに待つことは性分じゃないさ」
それでもだというのだ。
「けれど今は待つしかないだろ」
「実際問題として」
「なら待つさ」
それならというのだ。
「その間やることもあるだろうし」
「やることだね」
「怪人がまた出て来るかも知れないしさ」
「そうね。そういえば私達の力も」
菖蒲は薊に自分達のことも話した。
「気になるところだし」
「だよな、何かと」
「このことについても知りたいけれど」
「そうだね、君達のこともね」
智和も二人のやりとりに頷いてきた、そのうえでの言葉だった。
「気になるところだね」
「あたし達って何者なんだ？」
「二人共孤児ということも気になるところね」
「一体な」
「どうしてそれぞれ力を持っているのかしら」
「そのことについてだけれど」
智和は二人に話し
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