第七話 三人目その七
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「だから私達が今直面している謎も」
「解けるわ」
必ず、というのだ。
「一人ではそれが無理でも」
「三人、先輩もいてくれるから」
「無理と思うことはないわ」
「少しずつでもなのね」
「解けていけるわ」
それが可能だというのだ。
「安心していいわ」
「まあ絶望とかはしてないけれどな」
薊は菖蒲の言葉をここまで聞いたうえでこう述べた。
「無理とかはな」
「そうよ、解けない謎はないわ」
「だよな。ところでな」
「何かしら」
「菖蒲ちゃんひょっとして推理小説好きか?」
薊はここで菖蒲にこう尋ねたのだった。
「そういう手の小説とかアニメとかな」
「好きよ」
極めて簡潔にだった、菖蒲は答えた。
「推理小説はね」
「ああ、やっぱりな」
「コナン=ドイルも読むし」
それにというのだ。
「好きな探偵はソーンダイク博士にフレンチ警部、ハニー=ウェストにマイク=ハマー。神津恭介にね」
「多いな」
「銭形平次も読むわ。三河町の半七もね」
「何か何でも読むんだな」
「面白いと思った推理小説ならね」
何でもという口調だった。
「手当たり次第に読むわ」
「とりあえずあたしそこで出た探偵とかの名前半分もわからないぜ」
「そうなの」
「三河町って何処だよ、そもそも」
「江戸、今で言う東京にあった町の名前よ」
「へえ、そうなんだな」
「貴女確か関東の方にいたわね」
菖蒲は薊が三河町を知らなくてそれで問うた。
「それでもなの」
「東京の方はあまり行かなかったんだよ」
「それでなのね」
「ああ、三河町とか言われてもな」
それでもだというのだ。
「わからないよ」
「そうだったのね」
「関東っていっても広いだろ」
「ええ」
「あたしはずっと神奈川専門だったんだよ」
「横須賀や横浜ね」
「厚木に鎌倉、湘南とか川崎な」
そうした場所を巡っていたというのだ、関東にいた頃の薊は。
「高校に入ってからはバイクも使ってさ」
「成程ね」
「横浜の中華街とか好きだよ、横浜スタジアムも傍にあってな」
横浜ベイスターズの本拠地だ、ホームランがよく出る球場である。特にベイスターズ以外のチームのホームランがよく出る。
「それでなんだよ」
「わかったわ」
「あたしが東京には疎いってことがわかってくれたんだな」
「関東といっても広いのね」
「神奈川でも相当だぜ」
j広いというのだ。
「人が多いと広いな」
「地図でのことでなくてね」
「そうそう、神奈川も色々な場所があるんだよ」
「鎌倉にも行ってるのね」
裕香が薊にかつて幕府があった歴史の古い街のことを話に出した。
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