第二幕その五
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「お弁当があります」
「うん、じゃああそこまで行ってね」
「そしてですね」
「お昼を食べよう」
まさにそのお弁当をです。
「そうしよう」
「晩御飯の分も頂いていきましょう」
ナターシャは夜のことも考えて言いました。
「そうしましょう」
「夜もですね」
「夜の分もなの」
「だって晩御飯の時もお弁当の木が傍にあるとは限らないじゃない」
ナターシャはこう恵梨香に答えます。
「だからよ」
「それでなの」
「そう、だからね」
晩のことも考えてだというのです。
「晩の分もね」
「そうね。そうした方がいいかしら」
「いや、それには及ばないよ」
けれどここで、です。モジャボロが五人にこう言ってきました。
「晩のことはね」
「特にですか」
「取っておく必要がないんですか」
「うん、晩は晩でどうにかなるからね」
だからだというのです。
「心配しなくていいよ」
「そうですか、じゃあ」
「このままですね」
「うん、気にしなくていいい」
こうお話してでした、そのうえで。
一行はお弁当の木のところに向かいました、そうしてそれぞれお弁当を取ってそのうえで食べはじめました。
ナターシャはそのお弁当を食べてこう言いました。
「いや、これは」
「これはって?」
「どうしたの?」
「いいわね、黒パンがね」
ブリキの中の黒パンを出して食べながらです、ジョージと神宝に答えます。
「美味しいわ」
「固くない?黒パンって」
「そんなイメージがあるけれど」
「今は柔らかくなってるのよ。それにね」
「ああ、ロシアではね」
「黒パンが主流だからね」
「白いパンも美味しいけれどね」
それでもだというのです。
「やっぱり黒いパンも馴染みがあって好きなのよ」
「つまり黒パンはナターシャのソウルフードなんだ」
「そうなるんだね」
「そうよ、だからね」
まさにです、ソウルフードだからだというのです。
「好きなのよ」
「成程ねえ」
「そういうことだね」
「あとこのソーセージとお野菜も」
ソーセージは焼きたてです、そしてお野菜はとてもよく煮られています。その二つも食べて言うのです。
「美味しいわ」
「量も多いわね」
恵梨香は御飯のお弁当を食べています、おかずは鮭に椎茸と筍、それに人参をお醤油で煮たものです。
「これなら一箱食べたらお腹一杯よ」
「僕もだよ」
モジャボロはサンドイッチ、ハムサンドを食べています。彼の大好物である林檎を切ったものもあります。
「一箱でね」
「お腹一杯ですね」
「そうなりますね」
「うん、なるよ」
それだけでだというのです。それぞれのお弁当にはお茶やジュースが入った水筒までしっかりとあります。
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