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万華鏡
第六十八話 秋深しその十二

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「楽しみにしててね」
「じゃあ元旦はね」
「そうよね」
 四人はここでまた顔を見合わせて話した。
「皆でね」
「景子ちゃんのお家で」
「それでそれまでは」
「お盆の時と同じで」
 あの時のことを思い出しての話だ。
「巫女さんになって」
「それでお手伝いね」
「そうそう、お母言ってたけれど」
 ここで母の名前も出した景子だった。
「皆が巫女さんのアルバイトしたらね
「元旦のね」
「それをしたらなの」
「その後はまた飲んでいいからって。バイト料とは別にね」
「あっ、いいわねそれ」
「お母さん太っ腹ね」
「うちのお母さんも人手が欲しいのよ」
 だからだというのだ。
「お兄ちゃんは八条神社の助っ人に行ってお父さんとお母さんだけだから」
「助っ人は必要なのね」
「巫女さんが」
「そう、だからね」
 バイト料とは別に酒を出してもいいというのだ。
「いいってね」
「よし、じゃあ新年も決まりだな」
 まさに、という顔でだ。美優は景子に応えた。
「景子ちゃんの家な」
「そこで巫女さんのアルバイトしてね」
「それでよね」
「ああ、決まりだよ」
 こうしてだった、クリスマスと新年の予定は決まった。だがだった。
 十二月のことで一つ厄介なことがあった、それは何かというと。
 美優は困った顔でだ、こう四人に言ったのだった。
「冬はさあ、あたし苦手なんだよな」
「前そんなこと言ってたわね」
「冬嫌いって」
「ほら、あたし沖縄生まれだろ」
 暑い場所であることは言うまでもない。
「暑い場所に慣れてるからさ」
「冬はなのね」
「苦手なのね」
「そうなんだよ、どうもさ」
 こう言うのだ、苦い顔で。
「特に神戸の冬はさ」
「後ろから六甲おろしくるからね」
「前は海でね」
「滅茶苦茶冷えるだろ」
 確かに夏はその山からの風のお陰で涼しい、しかし冬は涼しいどころではなくなってしまうのが神戸なのだ。
「それがまださ」
「駄目なのね」
「苦手なのね」
「そうなんだよ、だから冬はさ」
 どうしているかというと。
「厚着で。しかもさ」
「しかも?」
「しかもっていうと?」
「まだ何かあるの?」
「寝る時は電気毛布必要でお家の中はストーブとかヒーターがんがんつけて」
「そうするのね」
「それで寒さを凌ぐのね」
「あと使い捨てカイロもさ」
 それも使うというのだ。
「とにかく完全武装だよ。その厚着だって」
 それもどうかというと。
「ブラの上に下着、それでブラウス」
「制服ね」
「そこからセーター着てさ」
 まだ言う美優だった。
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