第十九話 長雨
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。ふと、思い付いたように口にした。
「カタナは、いいのか?」
鼓動が跳ね上がる。何で、いつも鈍感な癖にこういう時だけ鋭いんだ。俺は、縁側から立ち上がり、雨が降る開けた所に走り出す。
「あっ。」
「イナリ、約束しろ。」
振り返って、そう言った。雨に濡れて、髪も服もすぐにびちゃびちゃになる。
「約束?」
その言葉に、訝しげな表情と、俺が雨に濡れているからか心配そうな表情が合わさって、奇妙な顔をしていた。
「そうだ!約束は、たった一つ。ハナを、必ず守ると誓え。」
イナリは、答えない。
「どんな敵からも、どんな脅威からも、必ず守り抜くと誓え。」
まだ、答えない。約束は出来ないか、そう思った時だ。それまで何の反応も見せなかったイナリが、縁側から立ち上がり、俺がいる場所に近づいてきた。イナリの髪は、服はすぐにびちゃびちゃになる。
「僕はさ・・・」
俺の側まで来て、そう話し始めた。
「僕はさ、ハナの気持ちも気づけないし、答えられるかも分からない。でも、その約束は守る。だって、仲間だから。」
その言葉に、色々なものが肩から落ちたような気がした。期待したような答えではないけれど、一歩進んだような気がしたんだ。
「仲間か・・・まぁ、いいや。今は、それで。」
「おう!」
雨の中で、そう答えるイナリは眩しく見えた。イナリ、今はそれでいい。でも、きっと気づく時が来る。お互いが、お互いを大切にしている事に。
「おっと、もう帰らねーと。じゃな!」
イナリが何か言うのが聞こえたが、無視して走り続けた。雨の中をずぶ濡れになりながら。
その日の夜
木ノ葉隠れの里 役所
三代目火影 猿飛ヒルゼン
長い、とてつもなく長く続く雨だ。そう思っていた。それと同時に、この雨は、言い例えようのない何か“どす黒いもの”を抱え込んでいるように見えて仕方がなかったのだ。
「何か・・・良くない事の前触れか。」
窓には向かって腕を組み、小さく呟いた。火影として、老練の忍として、感じずにはいられない。しかし、そんな事ばかり言っている場合でもなかった。この長雨で、里の至る所で浸水や、漏水、それらによる建物の破損などが起きていたのだ。それに対する書類が今、机の上に山積みになっている。
「仕方ない、さっさと片付けるかの。」
そう気合いを入れた時だった。扉が不意に開かれ、仏頂面の人間が入ってきたのだ。
「ヒルゼン・・・報告がある。」
低く、何者にも屈する事はないと言う強い意志が滲み出るような声だ。
「どうかしたのか?ダンゾウ。」
こやつは、志村ダンゾウ。木ノ葉の実力者の一人。
「先週から報告しておる件だ。動くなら、今日だぞ。」
包帯で隠されていない方の目が、鋭く光る。
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