キミノ声…
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した負傷ではないがジンジンと鈍く疼き、和らぐにはまだ時間が掛かりそうだ。
…………まったく、バカになったらどうしてくれるんだ。
「そう都合よくカンニングできたら今頃アイドルに囲まれながらTVに出とる」
「つまり、僕がテストに何を書いたところでお前には分らないんだろ。答え事態理解してないんだから」
「そうとも言う」
疲れが出る、意味も無く胸を張る彼に心ならずも机の上に開いた教科書を右にスライドさせる。
少々のデジャヴを感じつつあらかじめ記しておいた箇所をシャーペンの先で軽く叩く。
しかし、あの日と違うのは……
「俺は心配してんだよ…………東雲が嫌なことを思い出すんじゃないかっ……て」
先程までの暑苦しさとは打って変わり、自前のノートに書き殴った図式に落とした言葉は鳴り出したチャイム着席を促す予鈴よりも紫紺の耳に響く。
太一は優しい。
彼の教科書の角にはまだ記憶に新しい見慣れた文字が空白のスペースを埋め尽くすように何行も書かれてある。
期末試験四日目、一時間目の科目は数学だった。
あの後、左近に遅れて部室にやって来た男性は四十代後半と言ったところで、目尻のカラスの足跡が刻まれてから幾重も年月を経たからであろう顔中のシワさえ彼独自の色に感ぜられた。
上原だと名乗ったその男性はドラマと全く同じく胸ポケットから取り出した手帳を片手で開いてこちらに見せた。
『青野はどこだね?』
『そこでノビてるぜ』
突然のことでどうすればいいのか躊躇っている紫紺が答えるより先に、本職の刑事を相手に物怖じせずに軽口で返す彼を殺気すら覚える目でキッと睨む。
何だよと、たじろぐ左近に別にと、あからさまに顔を背ける。
その姿はまるで母親に叱られた二、三歳の子供のようで必死にぶつぶつと自問自答を繰り返している。
それが彼とはまた違った鬱陶しさで、あまりにもストレスが溜まっていた所為か非常にも脳天を握り拳で殴ってしまった。
いつものように神通力を使えば人間の攻撃など避ける、または反撃をすることさえ可能なのに左近は敢えて煙の出るような痛さに呻いている。
それは歴代の華衣と交わした契約の所為もあるが、九割を占めているのはやはり悠久の時を越えた絆がものを言っているのだろう。
気を失っている彼に手錠を嵌めるのはきっと本望ではなかっただろう、凡慮の及ぶところではないと分っていながら心が痛んだ。
動機は学生時代からずっと付き合ってきた彼女に突然別れを切り出されたのが発端だったらし
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