第24局
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
盤の手順間違いって、いったい?」
「彼にいわれるまで気がつかなかったよ」
行洋はそう言うと、黒の一子に指を伸ばした。
「私が切断に備えたこの手だ。必要な一着なのは間違いないのだが…」
その言葉を聞いて、ハッとする緒方。
「その前に、ここの隅のオキですね…」
「あ!そうか。外ダメが詰まれば手がいる。抑えるしかない。それだけで実戦より得。白の手抜きは最悪つぶれる…。逆転だ!進藤には見えていたんだ…」
しばらく盤面を見つめていた行洋はだが、やがて晴れやかに笑った。
「なんとも楽しいじゃないか、緒方君」
「先生…」
「世の中は広いな。プロではないアマチュアの少年との対局で、まさかここまでの碁を打てるとは。私は全力を尽くしたよ。進藤君に指摘された手も含めて、これが今の私の全力の碁だ。誰に見せても恥じることのないな。私など、まだまだだ」
「アマチュアの少年が、塔矢名人を互先で倒した…か。この眼で見ていなければ、とても信じられない話だ。確かに今すぐプロになれる腕前だ。今すぐなる気がないというのも変な話だが…。アキラ君、君の友達はどうやら只者じゃないようだな」
言葉をかけられたアキラの表情は明るく、晴々としていた。
「はい。ボクも今まで以上に精進します。今の彼は、ボクよりもはるかな高みにいますけど、いつか必ず、彼に追いついて見せます。彼はボクの生涯のライバルですから!」
「フフフッ。すっかり元気になったじゃないか、アキラ君。これは俺もうかうかして入られないか。まぁ、とりあえず進藤が戻ってきたら1局勝負を挑むとするかな」
緒方の表情もまた、獲物を見つけた獣のようにとぎすまされていた。
「もー、ヒカルったら、ひどいじゃない、遅刻なんて!奈瀬さんとずっと待ってたんだよ!」
「悪い悪い、ちょっと用事を先に済ませてたら時間がかかっちゃってさ、ホントごめんって」
「もー、せっかく打ってもらえると思ってきたのに。ヒカル君、女の子を待たせるなんてひどいよ!」
「あー、もう、ごめんなさい」
ヒカルが必死に走った待ち合わせ場所には、当然のように、怒れるあかりと奈瀬が待ちうけていた。塔矢の家の最寄の駅で待ち合わせをしていたのだ。
「今回だけだからね!次は許さないよ!」
「はいっ!ホンと、ごめん!」
−まったく、ヒカルはぼやっとしてるから。
−仕方ないだろ、思ったよりも長引いちゃったんだから!
「で、結局どこ行くの?この近くの碁会所?」
「ああ、今日は塔矢の家で打たせてもらえることになってるんだ」
「塔矢?知り合いの家なの?」
「塔矢アキラと同じ学校なんだ。そんで、塔矢が場所を貸してくれることになってさ。碁盤もたくさんあるしってことで」
「塔矢ア
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ