報告と舞踏会
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
学院に戻った俺たちは学院長室に来ていた。
「ふむ……。ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな……。美人だったもので、なんの疑いもせず秘書に採用してしまった」
「いったい、どこで採用されたんですか?」
オスマンの隣に控えたコルベール先生が尋ねる
「街の居酒屋じゃ。私が客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」
「で?」
「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」
「なんで?」
オスマンは目をむいてカァーッ!と言いながら怒鳴ったが、こほんと咳をして真顔になる。
「おまけに魔法が使えるというもんでな」
「死んだほうが良いのでは?」
コルベール先生はぼそっと言うが、オスマンは軽く咳払いするとコルベール先生に
「今思えば、あれも魔法学院に潜り込むためのフーケの手じゃったに違いない。居酒屋でくつろぐ私の前に何度もやってきて、愛想よく酒を勧める。魔法学院学院長は男前で痺れます、などと何度も媚を売り売り言いおって……。終いにゃ尻を撫でても怒らない。惚れてる?とか思うじゃろ?なあ?ねえ?」
コルベール先生はその言葉に焦り始め。
「そ、そうですな!美人はそれだけで、いけない魔法使いですな!」
「その通りじゃ!君はうまいこと言うな!コルベール君!」
コルベール先生……しっかりしろ。ほら皆、呆れて冷たい視線送っているぞ……
「さてと、君たちはよくぞ破壊の杖を取り返してきた。フーケが死んでしまったのは残念じゃが、それでもよくやった」
サイトと俺を除く三人が礼をする。
「フーケは一応死体確認に調査団が派遣されるそうじゃが……痕跡は果たして見つかるかどうか……後、破壊の杖は無事に宝物庫に収まった。一応一件落着じゃ」
オスマンは一人ずつ頭を撫でた。
「君たちの、シュヴァリエの爵位申請を、宮廷に出しておいた。追って沙汰があるじゃろう。と言っても、ミス・タバサはすでにシュヴァリエの爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」
三人の顔がぱあっと輝く。
「本当ですか?」
キュルケが聞く。
「ほんとじゃ。いいのじゃ。君たちは、それぐらいの事をしたんじゃから」
ルイズとタバサはサイトと俺を見て、ルイズは言いづらそうに質問する。
「……オールド・オスマン。サイトとアルには、何もないんですか?」
「残念ながら、彼らは貴族ではない」
「何もいらないですよ」
そうサイトは言い俺も断った。
「俺もだ」
オスマンは手をぽんぽんと打った。
「さてと、今日の夜はフリッグの舞踏際じゃ。このとおり、破壊の杖も戻ってきたし、予定通り執り行う」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ