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万華鏡
第六十七話 秋の味覚その八

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「全員大台目指すわよ」
「百杯か」
「女の子にそれは無理でしょ」
 幾ら育ち盛りでもだ、百杯はというのだ。
「だからね」
「じゃあ何杯を目指すんだ」
「八十ね」
 それだけだというのだ。
「それ位でしょ」
「そんなものか」
「ええ、ただね」
「狙えればか」
「百杯よ」
 この大台をだというのだ。
「狙っていくから」
「大きく出るな」
「女の子としてはっていうのね」
「ああ、女の子で百杯はな」
「ハードル高いわよね」
「俺達にしてもな」
 育ち盛りの男子である彼等もだというのだ。
「腹を空かして、しかも身体をうんと動かしてな」
「そのうえで挑んでよね」
「大台いけるかどうかだからな」
 そこまで念入りに用意をしてやっと、というのだ。
「女の子で百杯はな」
「わかってるわ、そのことはね」
 書記にしてもだというのだ。
「だからこそ狙える娘はよ」
「そうなんだな」
「そう、ただね」
「ただ?」
「私達は参加出来るけれど」
 このことは可能だ、だがだというのだ。
「相撲部とかプロレス研究会とかラグビー部とかはどうなの?」
「やたら食う面々はか」
「あっちの方はどうなるの?参加していいの?」
「何でもあっちはあっちでな」
「あっちで?」
「大食いの面々はうどんになってるらしいな」
「わんこうどんなの」
 わんこそばならぬそちらだというのだ。
「あっちなのね」
「大量の冷凍うどんで作ったな」
「冷凍うどんなのね」
「あれならすぐに作られてな」
 そしてだというのだ。
「しかもコシが中々落ちないだろ」
「確かにね、独特のコシだからね」
「あれみたいだよ」
「わんこうどんね、初耳だけれど」
「あれならわんこそばよりずっと安くてな」
「しかもおそばよりもボリュームがあるから」
「相撲部の連中でも食い尽くすってことがないからな」
「八条大学って相撲部もあるしね」
 勿論プロレス研究会にラグビー部もある、アメフト部もだ。
「ああした部活の人達は違うからね」
「ああ、力士さんはな」
 プラネッツの面々と同じことをだ、男子も言うのだった。
「食うのが仕事だからな」
「高校の相撲部にしてもね」
「だから普通の人とは違うからな」
「それでなのね」
「あっちはわんこうどんなんだよ。しかもな」
「しかも?」
「餅もあるらしいな」
 蕎麦やうどんだけでなく、というのだ。
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