第六十七話 秋の味覚その六
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「文化祭に部活にね」
「盛大にやったしね」
「読書の秋は」
これは里香が言ってきた。
「こちらは?」
「ライトノベルに漫画なら」
こう返す琴乃だった。
「幾らでも」
「そっちね」
「別にいいわよね、ライトノベルでも漫画でも」
「読書は読書よ」
里香は琴乃の言葉に笑顔で返した、肯定の証を見せて。
「いいと思うわ」
「ここで文学書とか言われると思ったけれど」
「文学ね」
「そう、太宰治とか夏目漱石とかね」
教科書の常連の作家の名前も出した琴乃だった。
「出て来ると思ったけれど」
「太宰ね」
「そう、里香ちゃんも読んでるわよね」
「走れメロスとか富岳百景とかね」
太宰の代表作だ、どちらも。とかく代表作とされる作品の多い作家の一人として試験でもよく出る作家だ。
「漱石だったら吾輩は猫であるとか」
「そういう作品を読むのも読書だけれど」
「それでもなの」
「そう、他の作品を読んでもね」
「文学作品を読むだけが読書じゃないでしょ」
里香はこのことをはっきりと言った。
「ライトノベルでも漫画でもね」
「読書なのね」
「ええ、そうよ」
その通りだというのだ。
「面白い本なら何でもね」
「読むと読書になるの」
「難しく考える必要ないから」
読書についてはというのだ。
「面白い作品を読めばいいのよ」
「じゃあ携帯小説も」
「いいわよ」
そちらもだというのだ。
「私だって読んでるから」
「ああ、里香ちゃんも携帯小説読んでるの」
「面白い作品も多いし。それに」
「それに?」
「携帯さえあったら読めるから」
気軽に、というのだ。尚且つ手軽に。
「最近読んでるの」
「そうだったの」
「そっちもね」
携帯小説もだとだ、里香はさらに話す。
「好きなのよ」
「そうだったのね」
「読書は何時でも出来るでしょ」
「確かにね、やろうと思えばね」
「だから私もね」
里香は琴乃にさらに話す。
「時間を見て読んでる」
「携帯小説ねえ」
「面白いわよ、誰でも投稿出来るから」
「じゃあ誰でもなの」
「私は小説は書かないから投稿はしないけれど」
「誰でも出来るのね」
「そうなの、出来るから」
それでだというのだ。
「携帯小説は人気があるのよ」
「ううん、誰でも小説書けるのね」
「そう、書けるのよ」
それこそ自分達でもだというのだ。
「中学生の子も投稿してたりするわよ」
「じゃあうちの弟もなの」
琴乃は里香の話を聞いて自分の弟を連想した、彼のことをだ。
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