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万華鏡
第六十七話 秋の味覚その五

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「それこそわんこそば百杯なんてね」
「すぐなのね」
「ざるそばだとね」
 わんこそばではなくだ、こちらでもだというのだ。
「五十皿はいけるかしら」
「ざるそばで五十なの」
「あの人達はまた違うから」
 里香もこう言うのだった。
「食べるのも仕事だけあるわ」
「ざるそばで五十はねえ」
「無理よね」
「そんなの絶対に無理よ」 
 琴乃は顔を顰めさせて全力で否定した、出来ないとだ。
「私もざるそば好きだけれど」
「それでもよね」
「五十はね」
 途方もない数字だった、琴乃にとっては。
「とてもね」
「それだけあの人達は食べるのよ」
「じゃあわんこそば大会にも」
「出場禁止でも驚かないわ」
 八条学園高等部にも相撲部やプロレス研究会はあるが彼等はというのだ。
「だってうちの学校の相撲部の人達も皆大きいでしょ」
「確かにね」
「しかも力士さんってね」
 里香は今度は力士自体の話をした。
「太っている様に見えて」
「その実はよね」
「殆ど筋肉だから」
 それが力士なのだ、力士といえば太っている様に思われるが実は脂肪は表面だけだ。その薄い脂肪の下は全て見事な筋肉なのだ。
「それこそね」
「そうよね、筋肉だから」
「その筋肉を維持する為に」
 ただだ、鍛えるだけでなくというのだ。しかも鍛えれば鍛えるだけカロリーを消費することになるからそれだけにだ。
「食べないといけないから」
「そうなるのね」
「逆に引退したら痩せるけれどね」
 力士の特徴だ、食べる必要がなくなるからだ。
「それも極端に」
「引退後は別人みたいになるわよね、確かに」
「それだけお相撲って特別なのよ」
「そういうことなのね」
「とにかく。わんこそば大会をするのなら」
 それならというのだった、里香も。
「面白そうね」
「食ってみるか」
 美優が乗り気を見せてきた。
「秋の味覚だしな」
「あと鍋もいいわね」
 琴乃はこれも出した。
「茸を一杯入れて」
「秋は茸だからね」
「栗御飯とか。銀杏を入れても美味しいし」
 琴乃は景子に応えながら御飯も話に出した。
「それとお魚だと秋刀魚ね」
「つくづく秋は美味しいもの多いわね」
 景子もしみじみとした口調で言う。
「何か」
「そうよね、本当にね」
「とにかくね」
 さらに言う琴乃だった。
「秋は食欲の秋よ」
「それよね」
「スポーツの秋はやったし」
 運動会でだ、琴乃はこちらも話題に出した。
「阪神も優勝したし」
「芸術の秋もね」
 今度は彩夏が言ってきた。
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