第六十七話 秋の味覚その四
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「そこまで食べられたら凄いわね」
「そうでしょ、桁が違うから」
「そういうことなのね」
「勿論ラガーマンとかアメリカンフットボーラーもね」
激しい運動、それこそ格闘技の様に身体を動かすスポーツをする人達もだというのだ。
「駄目でしょうね」
「ラグビーやアメフトも」
「格闘技だからね、殆ど」
景子もこうしたスポーツにはこう言う。
「ああいうのは」
「身体が大きい人も多いから」
「レスラーなんて大きいでしょ」
「ええ」
「アンドレ=ザ=ジャイアントとかね」
人間山脈とさえ呼ばれていた、途方もない巨体を生かしたファイトで活躍した伝説のレスラーである。
「酔ったレスラーなんて凄いわよ」
「そんなに?」
「そう、巨体に怪力で暴れるから」
それでだというのだ、話は何時の間にかレスラーの話になっていた。それもプロレスの方である。
「手がつけられないらしいわ」
「手がつけられないって」
「怪獣みたいだけれど」
「怪獣とまではいかなくても」
それでもだというのだ。
「巨体で怪力だからね」
「抑えられないのね」
「そうなのね」
「そうなの」
それで景子はこの話を出した。
「警官の人が束になっても大変だったって」
「おいおい、お巡りさんでもかよ」
そう聞いてだ、美優は引いた苦笑いになってこう返した。
「お巡りさんだって剣道とか柔道してるだろ」
「それでもなのよ」
「プロレスラーは抑えられないのかよ」
「酔ったね」
力のセーブが出来ないレスラーはというのだ。
「もうパトカーに押し込んでも蹴りでドア壊したりとか」
「壮絶だな」
「手を掴んでも振り回されたりとか」
そうなったというのだ、精強な筈の警官達がだ。
「とにかく手がつけられないらしいのよ」
「そこまでの巨体と怪力になるには」
どうかとだ、琴乃は真剣に考えて述べた。
「それこそ相当食べないとね」
「そうでしょ、だからね」
「プロレスラーの人はそういうのはお断りなのね」
「力士の人もね」
やはりこちらもだった。
「普通の人達じゃないから」
「つまり超人なのね」
「ある意味ね」
そうだというのだ。
「だからなのよ」
「それでなのね」
「そう、わんこそばでもね」
とてもだというのだ、景子は言う。そして里香も景子の話を聞き終えてから真顔でこうした話をしたのだった。
「わんこそばじゃないけれど力士の人の食べるの見たことあるわよ」
「どんな感じだったの?」
「その時はちゃんこ鍋だったけれど」
力士がよく食べる鍋だ、とはいっても中に入れるものは様々だ。それに力士が食べるものは何でもちゃんこになるのだ。
「もうね、丼に次から次にね」
「入れていってだったのね」
「凄い勢いで食べてたの」
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