第6騎 決裂
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ャヴィー河は、シャフラスの街より100ルシフェルグ(約100km)の所にある川幅100フェルグ(約100m)以上あり、その流域は外海から中央草原まで伸びる大きな河である。河口付近には、港町のキルノトゥイユがあり、アトゥスにとって重要な地域だ。そのクッカシャヴィー河をも越えたチェルバエニア軍2万を迎え撃ち、アトゥス軍は敗退した。詳しい戦況は分からないが、総大将を失いつつも、チェルバエニアをクッカシャヴィー河の対岸へと追いやることは出来たらしい。しかし、今もなお、クッカシャヴィー河の対岸にはチェルバエニア軍が陣を敷いて、戦闘は長期化の様相を見せていると言う事だった。
その報告に、エルはすぐさまに軍議を開き、今後の方針を決める。軍議には、この砦にいる主だった武将が集まった。集まった武将達は、ノイエルン王太子の訃報にどよめきを見せるが、それを無視してエルが話を進めた。
「今は、狼狽している時でも、ゆるりと話し合いをしている時でもない。何の意味もない足踏みをしている時間など、一欠片もない。アレスセレフ、レティシア、ジムエル、キュール、トレェルタの5百騎でクッカシャヴィー河へと向かう。」
そう言って、進軍のルートを説明し、出陣の準備を始めるよう檄を飛ばす。しかし、それに対してヒュセルは、抗議を口にする。
「バカな、シャプール砦の守りはどうするのだ!?こちらとて、アカイアがまだ、近くにいるのだぞ?」
「バカなのは、貴方だ。この砦は、岩壁に立つ攻めづらい砦です。砦を出ずに、守りに徹すれば時間を稼ぐ事が出来ます。しかし、クッカシャヴィーにいる残存兵には、その様なものがない。さらに総大将を失っている今、援軍が来るか来ないかで、彼らの生き死には決まります。」
「なっ!?」
バカ、という言葉に反応してか、顔を真っ赤にした。しかし、エルはそんな事すらも面倒だと言わんばかりに、無視をして話を続ける。
「この砦には、シャフラスから援軍を送るよう早馬を出しています。それは、クッカシャヴィーも同様ですが、すぐにとはいきません。だからこそ、動ける私達が、クッカシャヴィーへと向かうんですよ。」
「しかし!」
「そんなに心配でしたら、貴方は一切、砦から出ない事だけを守ればよろしい。これは、私達の進行ルートの詳細を書いたものです。何かあればこれを頼りに、早馬を走らせて下さい。すぐに、お助けしますよ。」
皮肉と侮辱、それを大いに含んだ物言いである。エルの顔に、何の感情も見えない。逆に、ヒュセルは何も言う事が出来ない位に、怒りの感情に包まれていた。エルは、それを無視して、進行ルートが書かれた羊皮紙をヒュセルの胸に押し付けて、部屋を出ていった。・・・それにヒュセルは、羊皮紙を強く握り締める。拳を震わせて、羊皮紙は丸めた形を崩す。
それから半刻も
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ