七十二 前夜
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の最大限の威力を凝縮する事で、【螺旋丸】の攻撃力は格段に跳ね上がるのだが、ここでナルは行き詰ってしまっていた。
第二段階まではなんとかクリアしたものの、どうしてもこの第三段階が上手くいかないのだ。
しかしながら、ちょっと自分が眼を離した途端コレか、と相変わらず無茶をする弟子に、自来也は僅かに眉を顰めた。
「…っ、エロ仙人!!」
一方のナルは師匠の姿を認めるや否や、飛び起きた。両手の激痛にも構わず意気込んで訊ねる。
「アマルは!?アマルはどうなったんだってばよ!?」
縋るように掴みかかる。当初修行に付き合っていた自来也だが、ナルの懇願に折れて、先ほどまで病院に行っていたのである。
切羽詰まった様子で、アマルの容態はどうだったのかと聞くナルを自来也は宥めた。なるべく物柔らかな声で告げる。
「安心しろ。アマルは、」
〈意識を取り戻したぞ。今はぐっすり寝とる〉
だが自来也の渾身の台詞は、無情にも傍らの犬に強奪されてしまった。
「…ッ!本当だってば!?…よかった―――」
はらはらと固唾を呑んでいたナルは、自来也より先に答えたパックンの言葉でほっと安堵した。ふにゃりと笑う。そのまま緊張の糸が切れたのか、彼女はすとんと意識を失った。
「おい、ナル!?」
寸前同様、ばったりと地に伏せたナルを自来也は慌てて揺すった。覗いた顔は濃い疲労の色が表れており、眼の下には若干隈がある。どうやらチャクラの枯渇と身体を酷使し過ぎたらしい。
顔色からそう判断した自来也に、同じくナルの顔を覗き込んだパックンが付け加えた。
〈ナルの奴、ぶっ通しで修行しとったからな。その疲れが出たんだろう〉
「…見ればわかるわい」
ナルを安心させる一言を横取りされた自来也は不貞腐れたように唇を尖らせた。気絶したナルの身体を背負う。
そして、足下でナルを心配そうに見上げるパックンを眼の端に捉え、眉間に皺を寄せた。
実はダンゾウの火影就任という凶報を持って来たあの夜から今日まで、畑カカシの忍犬であるパックンはずっとナルもしくは自来也の傍にいるのである。カカシに派遣され、ダンゾウの件を知らせに走ってきた事は理解出来るが、なぜ未だに木ノ葉に戻らないのか。
まるでこちらを見張っているようで、自来也はパックンを疑惑の眼差しで眺めた。
確かに逸早く綱手達の許へ辿り着けたのは、忍犬たるパックンの助力によるものだ。だが本来忍犬は己の役目を全うすれば、自ら【口寄せの術】を解くのではないのか。
パックンの行動に疑心を抱きつつも、自来也はナルを宿へ連れ帰った。静かにじっと見つめるトントンの前で、すっかり熟睡している彼女を布団に乗せる。掛け布団をそっと掛けたところで、部屋の扉を叩くノック音が響いた。
ナルの傍らに座り込むパックンを不審に思い
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