第百二十話
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第百二十話 どうにも
赤音と春奈の家ではカレーを作ることは出来なくなった。それで残りのメンバーの家ではどうかということになった。
だが、だ。これもだった。
美樹もだ、困った顔で言った。
「うちの家の台所は止めた方がいいわよ」
「どうしてなの?」
「何かあるの?美樹ちゃんのお家は」
「何処に何があるのか。お母さんと私しか把握してなくて」
それでだというのだ。
「最初に入って使える場所じゃないのよ」
「包丁やお鍋も」
「そういったものも」
「そうなの、殆どからくりの部屋だから」
そこまで複雑な状況になっているというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「入ってもなの」
「ちょっとね」
どうにもと言うのだ。
「お料理は難しいから」
「じゃあ美樹ちゃんのお家も」
「無理なのね」
「私のところは」
今度は梨花だった、だが彼女の場合もだった。
「無理かも、残念だけれど」
「梨花ちゃんのところはどうなの?」
「どんな状況なの?」
「今ずっとお父さんが入ってて」
彼女の家は父親だった。
「男の料理だって言ってずっといて」
「それでなのね」
「梨花ちゃんのところも」
「手間暇かけて作ってるのよ」
男の料理らしくだ、そうしているというのだ。男の料理は趣味なのでどうしても手間暇をかけて作るものになる。
「それでなのよ」
「難しいのね。、梨花ちゃんのお家も」
「使えないのね」
「そやったらうちの家はどないや」
ここで亜美が言ってきた。
「空いてるで」
「亜美ちゃんのところはなの」
「大丈夫なの」
「そやねん、しかもうちの家族皆カレー好きやし」
それでだというのだ。
「材料もめっちゃあるで」
「そうなの、じゃあ」
「亜美ちゃんのところで、かしら」
これで話が決まりかけた、しかし。
不意に亜美の携帯が鳴った、それに彼女が出ると。
「亜美、ちょっといい?」
「どないしたん、お母ちゃん」
その母の言葉でだ、話はまた頓挫するのだった。
第百二十話 完
2014・3・29
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