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打球は快音響かせて
高校2年
第三十二話 昨日の敵は今日も敵
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。中学の時から宮園と何度も対戦していた選手だ。宮園は水面西ボーイズ、梶井は水面北ボーイズ。打順は同じ3番キャッチャーで背丈も同じ。“ライバル”。そういう事になるだろう。

「さすが、お前の居るチームは必ず上位に上がってくるな。中学の頃からそうだった。チームを強くできる奴は、そうそう居ない。」
「よせよ。俺だけの力じゃない。」

ずっと真顔で話し続ける梶井は、お世辞を言っているのかどうかすら分からない。ここまで面と向かって褒められると、宮園も照れずには居られなかった。

「おー、あれが噂の“可愛すぎる監督”ゥ?」

突然梶井の背後から身を乗り出してきたのは、長身のチャラそうな顔をした選手だった。坊主頭でチャラさを出せる辺り、只者ではない。眉毛が相当細く整えられ、帽子はトサカのようにカチコチに型がつけられている。浅海の方をガン見するその選手に梶井は「やめろ。声が大きいぞ。」と釘を刺した。

「明日、決勝でやろうな。先に行って待っててくれ。」
「おー、明日僕らが勝ったら、あの人のメアド教えてなー!」

2人は宮園に背を向け、グランドへと出て行く。
梶井の背中には背番号2、チャラい選手の背中には背番号1がついていた。



ーーーーーーーーーーーーーー


空間を切り裂いてくるようなストレート。スピードガンの球速は鷹合並みだが、鷹合とは違って手元で生きたキレのあるボールがちゃんとストライクゾーンにビシバシと決まる。
そしてスライダー。美濃部と同じこの決め球は、美濃部に勝るとも劣らない変化量、そして美濃部以上のスピードで投じられる。

「ストライクアウト!」

水面商学館のマウンドには、先ほどのチャラい選手。圧倒的投球を披露し、優越感に顔を綻ばせる。

「……浦田、伸びてますねぇ」
「……ちょっとおかしいくらいにな」

その投球を観客席から見ている三龍ナイン。
京子が驚いた声を出すと、浅海はむしろ呆れたような声を出してそれに応えた。

三龍ナインだけでなく、球場に集まったファンやスカウトの目も釘付けにしているこの投手は水面商学館のエース・浦田遼。来年の創部100年目を甲子園で飾りたい水面商学館野球部の切り札で、1年の春から登板機会を得、そして今年の夏の水面を制した。海洋の城ヶ島は高校レベルではかなり良くまとまった投手だが、浦田はこの先のステージでの活躍も期待される、本物の好素材である。

「夏の甲子園は初戦負けやったけど…」
「それから5キロくらい速くなってないか?」
「これで打っても4番やろ?すげぇよなぁ」

準決勝まで勝ち上がってきた相手に対してポンポンと快調にアウトを積み重ねる浦田の姿に、三龍ナインは口をあんぐり。まさに衝撃。エゲツないとはこの事である。

そんな中、ピッチャー
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