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Myu 日常編
運命の出会い、なわけない
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海星は? 妹思いの兄はそんなことをかわいい妹に押し付けられない?」
「あいつはどう見てもブスだ。どこが可愛いのかわからん。それにミュウも俺と比べ物にならない。城島の恥だ。よって責任をとる価値すらない」
「あんたの中の美人像っていうのを一回見てみたいね……」
「明子はゴリラだが、美人だと思うぞ」

 明子は目を丸くして照れくさそうに笑った。冥星は時々こうやって無自覚に人を評価する。ちなみに冥星の中で美人というのはご飯をおいしく作れる人なので、食堂のおばちゃんなんかはドストライクなのだった。
 ではな、と冥星は夜の闇に紛れ込み颯爽と姿を消した。その身のこなしは、軍人である明子を圧倒するほどの速さだった。

「あんたが、闇の帝王にならなくてほんとよかったよ……ね、天星?」

 燃え盛る炎の中、一人の親友を今でも探し続けている明子。
 あの日、あの時、あの場所でつけられなかった決着は、明子の右目を代償にして今でも燻っている。
 生きている。奴は必ず。




 今は、何年の何月何日だろうか? 
 意識を取り戻せば、何かおかしな色をした液体が僅かな痛みと共に体の中を虫のように這いずり回る。そうすると、エリザ・サーベラスはまた自分の体が深い沼に沈み込んだように動かなくなる。
 抵抗はおよそ一年続けたはずだ。こう見えても自分はかなり粘り強い性格でどんな苦境にも耐えられる訓練をしていた。
 していた、というのはもうその必要がなくなったということだ。サーベラス家はもうこの世のどこにもない。血縁は皆殺し。残ったのは自分という一人娘だけだった。
 二年前……だったろうか。ミュータントに対する法律がいきなり厳しくなったのは。きっかけは、となる暴動だ。ミュータントたちが集団であちこちの都市を制圧しながら政府に立ち向かった戦い。
『革命』と親は言っていた。そう、革命だ。未知なる存在であるミュータントたちを経済的に、政治的に追い詰めるこの世界に対する革命。それは全国規模にまで及ぶ運動となった。

 首謀者は国によって違う。例えば、合衆国では『ジュリアナ・ローズ』と呼ばれる一人の少女が表に立って戦った。一人で数千人を一瞬にしてねじ伏せることのできる魔女。合衆国は彼女を止めることができず、一部革命は成功したという噂が流れた。それもつかの間出来事で、信頼していた者たちの数々の裏切りにより彼女は闇の内に消えていった。少女を利用して利益を得たかつての同胞は今や合衆国のトップに君臨している。
 そんな話は多々ある。例えば、エリザが貨物船に乗ってやってきたであろう、この日本という国でも革命は起きていた。だが、協力関係にあった家々が次々に断絶し、結局残された中心人物は家族に殺された。なぜ殺されたのか、そもそも中心人物が誰だったのかはわからないままだ。

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