第22局
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た。
「そんなことないさ、あ、ないです!リーグ入りしている緒方先生の棋譜、いくつも勉強させてもらっています」
その言葉を聞いて、緒方の表情が緩む。
囲碁のプロ棋士とは言えど、世間一般に対する認知度はかなり低い。
若手でトップクラスの座にいる緒方といえども、まだ世間一般に名が売れているとは言えなかった。
それゆえの、ちょっとした驚きと喜びだった。
「ほう、それはそれは、うれしいことだ。俺の棋譜も見てくれているとはな。まあ、堅い席じゃないし、言葉遣いはそこまで無理しなくてもいい。気楽にナ」
「あー…、すみません…。どうも敬語って苦手なもんで…」
そういって頭を掻くヒカルの様子を、緒方は興味深げに眺めた。
−こうしてみると、一見普通の子供に見える。アキラ君と比べても幼い感じがする。…が、眼に力がある…。それに、囲碁のプロのこともそれなりには知っているようだ。アキラ君を倒しただけのことはあるということか…。
「それで、何か私に話があるということだったね。かけたまえ。話とやらを伺おうか」
「あ、はい。それじゃ失礼します。えっとですね。まず、朝早く時間を作っていただいてありがとうございます。それで、率直に言うと、オレ達の後ろ盾のようなものになって欲しいんです。あ、もちろん、俺の腕を認めてもらえたらってことなんですけど」
「…後ろ盾というと?」
「オレは、今すぐではないんですが、プロになるつもりです。ただ、うちは爺ちゃんこそ囲碁好きですが、父さんも母さんも、囲碁のことはまったく知らないんです。そもそも、囲碁にプロがあるってことも知ってるのかな?だから、いきなり囲碁のプロになるって言っても、下手したら本気にされないかもって心配があるんです。オレは院生じゃないから、そのままプロ試験ってわけにも行かないですし」
「…なるほど。院生にはなる気はないのだね?」
「はい。ずうずうしいかもしれませんが、オレは、今すぐにプロになれるだけの力は持っているつもりです。だから、オレは院生になる気はないです。ただ、俺が囲碁を教えている幼馴染がいて、そいつは、院生になったほうがいいかなって思ってます。今日、後で来る、藤崎あかりって子です。あかりの院生への推薦も、あわせてお願いできたらなって、思ってます」
「…ふむ。聞いてると思うが、藤崎君とは先日打つ機会があった。だから、彼女が院生に入りたいというのであれば、推薦はしよう。力は十分にあった。…だが、君の碁はまだアキラに見せてもらったものだけだ。そうだな、返事は一局打ってからにしようか。…だが、いずれ?今すぐプロにならないのには何か理由があるのかね?」
「そ、それは…。それは、打ち終わった後でいいですか?っていうか。あかりと会ったことがあるんですか!?」
「聞いてないの
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