暁 〜小説投稿サイト〜
星の輝き
第22局
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。

「そんなことないさ、あ、ないです!リーグ入りしている緒方先生の棋譜、いくつも勉強させてもらっています」

 その言葉を聞いて、緒方の表情が緩む。
 囲碁のプロ棋士とは言えど、世間一般に対する認知度はかなり低い。
 若手でトップクラスの座にいる緒方といえども、まだ世間一般に名が売れているとは言えなかった。
 それゆえの、ちょっとした驚きと喜びだった。

「ほう、それはそれは、うれしいことだ。俺の棋譜も見てくれているとはな。まあ、堅い席じゃないし、言葉遣いはそこまで無理しなくてもいい。気楽にナ」
「あー…、すみません…。どうも敬語って苦手なもんで…」

 そういって頭を掻くヒカルの様子を、緒方は興味深げに眺めた。
−こうしてみると、一見普通の子供に見える。アキラ君と比べても幼い感じがする。…が、眼に力がある…。それに、囲碁のプロのこともそれなりには知っているようだ。アキラ君を倒しただけのことはあるということか…。


「それで、何か私に話があるということだったね。かけたまえ。話とやらを伺おうか」

「あ、はい。それじゃ失礼します。えっとですね。まず、朝早く時間を作っていただいてありがとうございます。それで、率直に言うと、オレ達の後ろ盾のようなものになって欲しいんです。あ、もちろん、俺の腕を認めてもらえたらってことなんですけど」
「…後ろ盾というと?」
「オレは、今すぐではないんですが、プロになるつもりです。ただ、うちは爺ちゃんこそ囲碁好きですが、父さんも母さんも、囲碁のことはまったく知らないんです。そもそも、囲碁にプロがあるってことも知ってるのかな?だから、いきなり囲碁のプロになるって言っても、下手したら本気にされないかもって心配があるんです。オレは院生じゃないから、そのままプロ試験ってわけにも行かないですし」

「…なるほど。院生にはなる気はないのだね?」
「はい。ずうずうしいかもしれませんが、オレは、今すぐにプロになれるだけの力は持っているつもりです。だから、オレは院生になる気はないです。ただ、俺が囲碁を教えている幼馴染がいて、そいつは、院生になったほうがいいかなって思ってます。今日、後で来る、藤崎あかりって子です。あかりの院生への推薦も、あわせてお願いできたらなって、思ってます」

「…ふむ。聞いてると思うが、藤崎君とは先日打つ機会があった。だから、彼女が院生に入りたいというのであれば、推薦はしよう。力は十分にあった。…だが、君の碁はまだアキラに見せてもらったものだけだ。そうだな、返事は一局打ってからにしようか。…だが、いずれ?今すぐプロにならないのには何か理由があるのかね?」
「そ、それは…。それは、打ち終わった後でいいですか?っていうか。あかりと会ったことがあるんですか!?」
「聞いてないの
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ