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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 第2話 「王の来訪」
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来る予定らしい。

「うむ、そうか……どうかしたか?」
「いや別に。ただ意外とあっさり引くんだな、と思っただけだよ。クローディアさんの性格だともっと粘りそうな気がしたし」
「その予想は間違ってはおらん。我としても思うところはある。が、そちらが気にするなという意味の返事をしたのだ。引かなければ余計な気を遣わせるだろう。それと、我のことはディアーチェでよい」
「いや、会ったばかりでそれは……」
「我がよいと言っているのだ。その代わり、我も貴様のことはショウと呼ばせてもらうがな」

 尊大な態度だが、不思議と嫌な気分には全くなっておらず名前で呼んでもいいとすら思っている自分がいる。
 肯定の返事をすると、ディアーチェは「それでよい」と言ってフォークを手にとってケーキへと入れた。一口サイズに切って突き刺すと、口へと運ぶ。
 何気ない動作ではあるが、気品を感じさせられた。シュテルも友人だからなのか、ディアーチェも言葉遣いはあれだが淑女のようだ。

「どうかな?」
「うむ、素直に言って美味だ。しかし……地球ではこの味で『これくらい』と表現するのか?」
「それは人によるんじゃないかな。まあ今回の場合は、ディアーチェが食べてるそれって俺が作ったものだからこれくらいって言っただけなんだけど」
「何だと、それは真か!?」

 いきなり大声を上げたことに驚いたが、どうにか首を縦に振ることはできた。
 ディアーチェは再度ケーキを一口サイズに切って口に入れ、味わうような素振りを見せる。

「……ショウ、これは本当に貴様が作ったのだな?」
「そうだけど……それがどうかしたのか?」
「いや……貴様ぐらいの子供が菓子を作るのは珍しいと思ってな。深い意味はない」

 ディアーチェはおかしいことは言ってはいないが、何かしら意味はある気がする。そうでなければ一口一口味わうように食べたりしないだろう。
 ――味の分析でもしているのだろうか。どことなく桃子さんのお菓子を食べている俺に似ている気がするし。
 そんなことを考えているとリビングの扉が開く音が聞こえた。誰かが入ってくると思いきや、扉に何かがぶつかった音が響く。俺は何となく予想がついていたので問題なかったが、ディアーチェは衝撃音に一瞬身体を震わせた。
 ゆっくりと入ってきたのは、ぼんやりとしているレーネさんだ。メガネもかけておらず、髪も結んでいない。これまでの経験から推測するに、呼び出しをもらって起きたわけではないと思われる。

「……おはよう」

 普段よりものんびりとした口調で言ったレーネさんは、こちらにゆったりとした足取りで向かってくる。小さな子供だったらお化けのように見えて泣いてしまうかもしれない。せめて顔にかかっている髪くらい退けて歩いてほしいものだ。

「話し声がす
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