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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 第2話 「王の来訪」
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 と言っている割に少女の顔は笑っている。

「まあ、あやつは真面目そうに見えて時折ふざける奴だから無理もない」
「時折? ……俺の記憶では毎回のようにふざけてた気がするけど」

 俺の返事に彼女は「ほぅ」とどことなく感心しているような反応を示した。視線で問いかけると、すぐさま返事が返ってくる。

「いや、我もあやつとは長い付き合いだが毎度のようにはふざけられてはおらんからな。貴様にはふざけやすいのか、よほど気を許しておるのだろうな」
「もしも前者なら俺は今後対応を変えるよ……話が逸れてるな。クローディアさん、俺への用件っていうのは?」
「ん、あぁそうだったな」

 彼女は紅茶を優雅に一口飲み、カップをテーブルに置く。

「別に大した用ではない。貴様にはシュテルが世話になったし、迷惑をかけたようだからな。恩師の家族に挨拶をしておくついでに詫びもしておこうと思って伺ったまでよ」

 そう言って彼女は持ってきていた手荷物をこちらに差し出してきた。
 シュテルの友人が行うようなことではないと思うのだが、受け取らないというのも悪いだろう。俺が受け取ると少女は笑みを浮かべるが、申し訳なさそうな顔へと変わる。

「……その、突然訪問して済まなかったな」
「別に構わないよ。レーネさんは多忙だから連絡を入れててもこっちには入ってこなかっただろうし、シュテルも仕事だろうから」

 シュテルの仕事というのはファラの修理だ。
 シュテルからは人型フレームに問題はないが、フルドライブ状態での戦闘が原因で内部に多大なダメージがあったと聞いている。特に《ミーティアストリーム・バースト》を使用した際には、瞬間最大出力が過去のデータより格段に高かったらしい。
 状態説明の後には説教――されたと誰もが思うだろうが、シュテルは

『状況が状況だけに仕方がありませんし、彼女には意思があります。あなたの要求に拒否しなかった以上、責任はあなただけにはありません。それにカートリッジシステムを組み込んだ時点である程度のことは覚悟していました』

 と、普段どおりの表情で淡々と言うだけだったのだ。
 ――個人的には怒ってくれたほうが気が楽だったんだが……俺の性格を見越して怒らなかったのだろうか。頭が回るから可能性は充分にあるよな……でも、シュテルはこうも言っていた。

『ファラを破損させたことは褒められたことではありません。が、今回のことであなたの潜在的な力を垣間見ることが出来たのは収穫です。もう同じように使用しても破損しないようにしてみせますよ』

 そのときのシュテルは、決意に満ちた微笑みを浮かべていた。
 あの日から俺はシュテルとファラには会っていない。レーネさんが言うには、今日中に修復が終わる予定だそうだ。明日の朝にこちらに
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