空白期 第2話 「王の来訪」
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地球という限られた世界の範囲内でさえ、世の中には自分とそっくりの人間が数人いるという話がある。次元世界で考えれば、その数はそれなりの数に上りそうだ。
俺の知り合いにも似ている人間は存在している。高町なのはとシュテル・スタークスだ。
ただ個人的に髪型や瞳の色の違いもあってか瓜二つとまでは思えない。視覚からの情報を断ち、聴覚による情報だけで判断する場合は間違えてしまう可能性が充分にあるが。
高町もシュテルもそれなりに身近な人間であるため、俺は一般人よりは慣れがあるはずだ。しかし、俺は今困惑してしまっている。
事の経緯を説明すると、まず呼び鈴が鳴った。叔母であるレーネさんも在宅していたが、熟睡していたため俺が対応しようと玄関を開く。視界に映ったのは、はやて――ではなく、彼女に瓜二つな少女だった。髪や瞳の色に違いはあるが、髪型や背格好はほぼ同じだと言っていい。
――ここまでそっくりだと遠目では区別がつくかどうか分からない……いや、今はまだ区別できるか。はやてはまだ歩けないから車椅子を使っているわけだし。
「突然の訪問申し訳ないのですが、ヤヅキという名の家はここで合っているでしょうか?」
「え、あぁ、はい。このへんで夜月って苗字の家はここだけだから合ってると思いますけど……」
来客の対応は叔母が普段家にいない時間が多いこともあっていつもしている。だが少女がはやてに似ているせいか違和感を覚え、たどたどしい返事をしてしまった。
見た目は置いておくとして……髪色とかから考えて日本人とは考えにくい。それにこの家に訪ねてくるのは近所の人間か、レーネさんの知り合いくらいだ。レーネさんの知り合いにはシュテルもいたわけだし、レーネさんの知り合いって可能性が高いよな。
「えっと……レーネさんの知り合いですか?」
「はい」
「そうですか……ここで立ち話も何ですし、とりあえず中にどうぞ」
「ではお言葉に甘えて、失礼します」
家の中に入ると、俺は彼女をリビングへ案内する。
少女にソファーに座るように促し、彼女が座ったのを確認すると俺はお茶の用意をしようとするが、あまり来客がないこともあってこういうときに限って出すものがない。仕方がないので俺が昨日作ったケーキとパックのお茶で対応することにした。
「すみません、これくらいのものしかなくて」
「いえいえ、こちらが突然訪問したわけですからお気遣いなく」
「……今叔母を呼んできますので少々お待ちください」
と言ったものの、叔母は熟睡――いや爆睡しているはずだ。数日の徹夜を平気でこなす人なのだが、一度寝るとよほどのことがないと起きない。しかし、仕事の連絡には反応しているようだ。これは叔母の不思議な部分のひとつだと言えるかもしれない。
寝てるあの人を起こすのって何だか
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