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Myu 日常編
ミュータントの説明はもっと先になるので
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 ――――いったい、こんな物の何に惹かれるのだろうか。


「うぁあああ! は、はだか!?」
「冥星、こういうのが好きなのかい?」
「違うわ馬鹿者。俺はこいつの股の下に映っているこの黄金のリンゴとやらが食べたいんだ」
「は、はだか、ま、まるみえーーーー!」
「なんか……この女の子、怖いくらい綺麗だけど……人形みたいだね。生きてる感じがしない」

 うるさい隼人を黙らせながら達也は悲しそうにつぶやいた。
 達也たちにはこのチラシがなんなのか、冥星が何をしようとしているのかは知らせていない。理解できるほど心が大きいとは思えないからだ。むしろ知ったところで精神的な負担が大きすぎて不安定な状態に陥ってしまうかもしれない。

「あ、このリンゴ……十万円からって書いてあるけど、冥星そんな大金あるの?」
「ない、そこでお前たちに集めさせようとしている」
「達也、そろそろ帰ろうぜ」
「うん、隼人はまた姫ちゃんとの縁談話?」
「……あ〜、まぁ、な」
「俺も海星ちゃん誘ってどこか遊びにいこうかな」

 冥星の優秀な手下は女に現を抜かしすっかり腑抜けになってしまった。小学五年生の分際で色ボケとは言語道断だ。お互いに触れ合うだけで精一杯、触れ合ったら壊れてしまいそう! 夢いっぱい甘酸っぱい!


「く、くだらん」

 食欲、睡眠欲……性欲。生きるために必要な人間の欲求。
 すばらしい生き物だと思う。食への欲求は常に冥星を未知なる世界へ導き、睡眠は冥星の怠惰を支配する。食っちゃ寝こそ至高の生き方。カリスマニートの夢。冥星の野望なり。
 性欲に関しても、おのずと理解するだろう。オスとメスが交わる。それだけだ。多くの若い者たちが盛大に励むのだから、それはそれは気持ちのいいものなのだろう。いずれはわかることだ。
 しかし、と冥星はここで思いとどまる。この性欲を満たす過程で、どうやら私たちは愛を育まなくてはならない。なぜなら、愛のない性交は金がかかるらしいし、無理やりするのはレ○プといって犯罪なのだ。
 つまり、愛をささやきながらでなくては性交は成立しない。

「なぜ、ここまでめんどくさいのだ……」

 人間が与えた欲求の一つは、おどろくほど困難な道のりだ。いや、困難だと思ってしまうのは、冥星がそういう生き物だからだ。
 隼人は、達也は、喜ぶ。性欲、とは程遠いがいずれそこに到達するまでの長い道のりを、彼らは辿り着くのだろう。
 冥星は――――、彼は、彼には無理だろう。
 冥星は、チラシに映った裸の少女をじっと眺めた。
 白い肌、わずかに膨らんだ乳房、端正な顔立ち、プラチナブロンドの長い髪……素直に綺麗だと思う。こんなに美しい少女を見たのは初めてだ。
 ただ、なぜ黄金のリンゴより勝るのかがわからないのだ。
 少女は
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